6年
主体的・意欲的に探究する理科学習をめざして
広島県府中町立府中東小学校
教諭 栗原 築波

1.はじめに

 児童が意欲たっぷりに理科室にやってきてくれることは,専科の教師としては大きな喜びである。しかし担任ではなく,時間も限られた中ではなかなかむずかしい。ただ,「よし今日は理科だ。」とか「やった,楽しみにしてた。」というふうに,少なくとも理科の時間を楽しみに待つ姿が見られることは,主体的・意欲的な姿としての必要条件ではなかろうか。そういう理科を求めて授業改善の方法を探ってみた。

2.授業改善の視点

 そこで,理科の時間が楽しみになるため,授業改善の視点を次の3点にしぼってみた。

 (1) 次の理科の授業を楽しみに待つためには,少なくとも,次の時間の内容や課題がしっかりわかっておく必要がある。さらに,その内容や課題は児童にとって「やってみたい。調べてみたい。」と思える内容であることが大切だ。すなわち,学習課題が明確で,児童の発想から出た課題であることが望ましい。

 (2)

 学習材との出会いも大切だ。「もっとこうしてみたい。」とか「こんな事をしたらこうなるかもしれない。」というふうに,こだわりがもてる出会わせ方を工夫する必要がある。(個と学習材のかかわり)

 (3)

 個のこだわりを学級集団の中で表現し,他の児童の考えを聞くことによって,再び学習に立ち向かう,そういう学習活動が和やかな雰囲気の中で,自由にできる学級集団が欠かせない(個と集団のかかわり)

3.実践の概要及び成果

 ここではページの関係で,視点(1)についてのみその概要を紹介する。

 一連の学習の流れの中で,次の授業を楽しみに待てる学習過程になるような改善を進めていくと,1時間あるいは2時間単位で学習が完結してしまうより,次時へのつながりの部分が終末にきた方がいいことに気づく。すなわり「終わり」ではなく「続く」という学習過程の方が興味は確実に持続する。

 理科の問題解決学習の基本的なスタイルとしては,本来,(課題)→(予想)→(実験・観察)→(結果)→(まとめ)と進んで行くと考えられるが,私はその流れを組みかえて,授業の終末はまとめてはなく,新しい疑問を出しあったり次の学習課題を作ったり,もっと進んで実験方法を考えたりする時間にあてることが多くなった。

 すなわち,一つの単元が流れていく過程で,1時間の授業の流れが(実験・観察)→(結果)→(まとめ)→(新しい疑問や次時の課題)→(予想)→(調べ方)というふうに組みかわった。

 そうする事により,児童は理科室に来る前から,今日は何について調べるのかはっきりわかっている。中には自分で考えた実験道具を準備してきたり,家から図鑑や資料をかかえて持ってくる児童も現れた。

 教師の方も準備がとても楽になった。1時間完結型の授業では,例えば実験方法を児童が考えたとしても,その日教師が準備していたものしか使用しないのなら考えさせる意味がない。せっかくのいいアイディアでも急には準備できない。

 ところが,組みかえ型の授業では,次時までに児童のたてた計画で準備できる。(児童の自己決定・自己選択の保障)また,なにをするかがはっきりわかっているので,わずかの諸注意で,いきなり授業や観察にはいれた。

 もちろん,すべての授業が理想通りに進んだわけではない。学習の流れによっては,学習意欲が減ったり増えたりいろいろあったが,学習過程の組みかえにより,次の時間に対する学習意欲が増したことは確かである。

4.児童の反応



前へ 次へ

閉じる