授業実践記録
媒介変数表示と曲座標の応用
〜ルーロの三角形を通して学ぶ〜
愛知県立豊橋東高等学校
鳥居龍弥
 
1. はじめに

 「媒介変数表示と曲座標」では曲線の表示方法として、直行座標を用いた陽関数表示と隠関数表示を学んでいる。しかし、これらの表示方法では曲線を描くのが難しかったり、式表示ができない曲線もある。身近な例をあげれば、アンモナイトの化石に見られる螺旋曲線、ロータリーエンジンのローターが描く曲線、最速降下線で知られるサイクロイド曲線などである。
 これは、ルーロの三角形を題材にあげ、中心軌跡がどんな図形か考察して、数式化することを考えた。日常生活から題材をとりあげることで数学に関心をもち、自らいろいろな曲線を考えることができるようになればと思い、授業で行った一部である。
 
2. 実践の内容

 授業では問題を提起した後、ルーロの三角形の模型をもってきて、生徒に予想をさせたあと、プリントを配付して考察した。
  プリントはこちらから
 下記の4パターンに分け、左下を原点として正方形の一辺の長さを a とすると、A (a, 0), B (a, a), C (0, a) となる。この4パターンを調べれば全ての場合を調べたことになる。 

図1 (30≦θ≦60

図2 (60≦θ≦90

図3 (30≦θ≦60

図4 (60≦θ≦90

図1(30≦θ≦60)においては点 P1, P2 はそれぞれ、OA, AB に接している。

 このとき P1OA に接しているので y 座標は0、x 座標は OP1OA−P1 A より
   xa −a cosθ
 よって P1 (a −a cosθ, 0)
 次に P2AB に接しているので x 座標は aP2y 座標は AP2 よりa sinθ
 よって P2 (a, a sinθ)
 また P3x 座標は OA−AP1P1P3cos∠P3 P1A より P3x 座標は 、a cos(θ+60)+a − a cosθ
 P3y 座標はa sin(θ+60)
 よって P3 (a cos(θ+60)+a − a cosθ, a sin(θ+60) )
 ゆえに中心の座標は
    となる。
 加法定理を用いて整理して
   

 同様に図2、図3、図4の場合を考えると

 図2 

 図3 

 図4 

となる。

 ここまでできたら、GRAPES(大阪教育大学付属高等学校の友田勝久先生が開発されたフリーソフト)を用いて、中心軌跡を描いた。


 
3. まとめ

 予想では円が多かったが、上記の考察により正方形に内接したルーロの三角形の中心の軌跡は円ではなく楕円のようなものということが生徒にも理解できた。計算はやや煩雑ではあるが、よい演習になったと思う。最後さらに行列を用いて解いていけば、図1、図2の場合、

 30<θ<60のとき 楕円 6(2)(x−a)2+6(2)y 2a 2 を −45回転したもの
 60<θ<90のとき 楕円 (1)x2+(1+)y 2a 2 45回転したもの

を導くことができ、実は楕円を4つ貼り合わせたものということを補足した。