情報授業実践記録
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グループワークによるプレゼンテーション演習

大阪府立枚方高等学校
晋也

 
はじめに

 まず1学年最初の授業でアンケートを実施して情報機器の操作や情報に関する知識レベルを確認しています。その結果や新入生がコンピュータを使用する様子を見ていると,中学校までに様々なソフトウェアを利用した経験をもつ生徒や,携帯電話などによるネットワーク利用経験者が増えています。しかし,利用経験の豊富な生徒の中にはキー入力や操作時の姿勢などがいい加減な生徒が意外に多く,一方でコンピュータの操作だけでなく機械類全般に苦手意識を持ってしまっている生徒もいるようです。私は,生徒に「コンピュータという便利な道具」を効果的に活用する能力を身につけさせることを目標にしています。正しい道具の使い方としてタイピング方法や機器操作に関する基本的な姿勢(作業効率が上がる)を身につけた上で,自らの意見や発想,想像力をさまざまな場面で情報機器を効果的に活用して表現できる人材を育成したいと思っています。

 
本校の授業の内容

 本校では,「情報A」(教科書「啓林館 高等学校 情報A最新版」)2単位を,1学年と2学年で1単位ずつ履修する形態で,以下の内容を展開しています。

1年次
2年次
○ネットワークコンピュータの利用手順
○コンピュータの構成を理解する
(ハードウェアとソフトウェアとファイル操作)
○タイピング練習
○情報検索とネットワーク利用上のルールとマナー
○電子メールの利用
○ワードプロセッサの活用
○情報の活用と責任
○webページ作成
○表計算ソフトの活用
○プレゼンテーション演習※
・基本的なソフトウェアの利用方法の理解
・個人発表
・グループワークによるプレゼンテーション
○ディジタル技術と情報社会について

 週1時間の授業のため,毎回自作プリントによるLAN教室での演習を中心とした内容としています。本校では生徒全員にメールアカウントを発行しており,webページやプレゼンテーションファイル作成時には,自分で撮影した画像データを電子メールに添付して学校に送信し,授業で利用できるようにもしていますので,電子メールの利用上の注意などを早い段階で理解させるようにしています。
 これから具体的に紹介する内容は,ほとんどの学校で実践されていることでしょうが,私がグループワーク演習で意識していることや,生徒に期待することなどを含めて紹介します。

※プレゼンテーション演習のスケジュール
基本操作と個人プレゼン
時数
グループワークによるプレゼン
時数
ソフトウェアの基本操作
3h
テーマとアンケート項目決定
1h
個人プレゼン用スライド作成
1h
情報検索とスライド作成
(リハーサル含む)
4h
個人プレゼン発表と相互評価
1h
各班のプレゼンテーション実施
2h

 まず,プレゼンテーションソフトウェアの基本的な操作を簡単に学習した後で「私のお気に入り」というテーマで,3分間の個人でのプレゼンテーション演習を行います。
 自分の考えを「絵コンテ」として整理することから始め,どのように情報を整理し提示すれば相手の共感を得られるかを体験します。この段階では,与えられた時間を守って発表することはほとんどできませんし,スライドにアニメーションをつけられる生徒も少ない状況です。しかし,聞き手が感じた発表時の問題点や改良点,発表者の意図がどのように伝わったのかを生徒たちが相互評価することで,教師からの批評とは違った受け取り方ができるようです。

 
個人プレゼンテーションの様子

 そして,個人発表による失敗や成功したという経験の後,グループワークに発展させ,作業を分担したり,技術的に工夫しあったりすることで,より効果的なプレゼンテーションに仕上げさせようというねらいがあります。

 グループワーク演習では,以下の指示をします。

[1] グループ編成は1班5人とし,男女比等は考慮しない。
[2] 発表のテーマは,次の中からブレーンストーミング法によるミーティングによって満場一致で決定する。
a.「自由と責任」 b.「環境とエネルギー」 c.「日本の少子化と高齢化」
d.「戦争と平和」 e.「ルールとマナー」
[3] テーマに沿ったアンケートを実施しデータをグラフ化すると共に分析する。
[4] 設定時間(10分間)を意識し,発表するだけでなく質疑応答の時間を確保する。

 このときは,大きな机で班員が話しやすい環境にするため実験室を借用して実施します。

 スライド作成時間は,クラス全員へのアンケート実施や集計(授業の間に実施),資料検索,リハーサルも含めて4時間の設定です。週1時間の演習でもあり作業効率はあまりいいとはいえませんが,自分が納得するまで完成度を高めたいという生徒個人の気持ちに任せてしまうのではなく,「限られた時間内で作品(ファイル)を完成させる」ことを命題としています。
 今回は1班5人,1クラスで8班の編成とし,発表時の時間配分は次のように設定しています。

 発表の場所は視聴覚教室(大きな教室で,発表の環境として適している)を確保し,雰囲気作りも考えました。  

  
班でのプレゼンテーション実施の様子
(発表後の質疑応答や担任からの講評も)

 発表当日は,発表だけで設定時間を越えてしまう班や,設定時間内で上手に進行できた班,質疑応答が活発なクラスなどがあります。さらにテーマを限定していますので,同じテーマの発表が続くこともありますが,テーマへの切り口が班毎に違うために,同じような発表が続くということにならないのが本校の生徒のよいところでもあると思っています。
 また,聞き役になる生徒は,発表内容に対する質問事項を書きとめたり,発表時の内容やスライド,進行などについての評価をしたりしながら,評価シートを完成させ授業後に回収します。

 
単元の理念と評価について

 テーマ決定時にブレーンストーミング法の批判厳禁,大量意見,便乗発展,自由奔放の4つのルールによったミーティングを経験させます。これは,人の意見を批判しないで自分の意見を主張しながら,みんなが納得してテーマ決定(問題を解決)していくものです。一度決定したテーマは変更できませんので,意見が出ないまま安易に多数決で決めたりしないようにできます。また,あまり親しくないメンバーが多くても積極的に自分の意見を発表したり,発言をまとめたりすることによりチームワークや協調性を身につけてほしいと考えています。
 評価は,教員によるチェックシートも利用しますが,グループワーク演習期間中は,個々の作業状況を確認しづらい点もありますので毎回の作業報告書によって,自分の作業の到達度や班への貢献度,問題点の確認など自己評価させたものも考慮します。さらに,発表に対する評価,発表後の自己評価「振り返りシート」を点数化し,実技点数の要素としています。
 
おわりに

 2年次のグループワークを中心に,まとめました。ミーティング法の活用は,大切な要素と考えます。KJ法を使ってアンケート項目を決定する手法も取り入れたいのですが,時間の関係で現在は実施していません。
 発表用原稿作りの段階などで,技術的な面をサポートする生徒や,発表構成を議論する光景も見られるなど,グループワークを実施する効果が感じられます。
 教科「情報」として,個人の情報機器の活用能力を高め,適切な情報の収集や選択・活用手段を身につけさせると共に,集団による作業経験を取り入れ,リーダーシップや自己責任などについて生徒たちが自ら考え,大切なことだと感じてくれる授業展開ができるよう検討を続けたいと思います。