英語授業実践記録
自学による音読活動に変化を与えるための指導例
−授業開始15〜20分間の活動−
茨城県立並木高等学校
曽根典夫
 
1.はじめに

 現在,私は高校3年生(全5クラス)を2人で担当している。GTEC for Students(ベネッセコーポレーション)の結果を見ると,1年次(12月)から2年次(12月)にかけて,リスニング能力とライティング能力についての本校生のスコアの伸びは全国の平均スコアを大きく上回ったが,リーディングの能力のスコアの伸びは全国の平均スコアを若干上回る程度であった。そこで,3年次ではこの問題点を踏まえ,「リーディング」の時間において空読みになりがちだった音読活動に“Thinking”の要素を入れれば,読解力養成につながるのではないかと考えた。使用教科書:ELEMENT English Reading READING SKILLS BASED (KEIRINKAN)

 
2.日々の音読活動

 授業冒頭で下のプリントを使い,音読テストを実施しているため,授業開始前から生徒は音読練習をしている。

(1)3年間継続した授業前音読
 授業冒頭で全クラス統一した音読プリントを使用して音読の評価を生徒相互にさせている。そしてその音読プリントをクローズテストにして各課終了時に語彙テストを実施し,定期考査ではパートごとに日本語文を提示して,英語の空所に適語または文章を入れさせることで,音読活動につながりを持たせている。このようにテスト形式を宣言しているため,授業開始前,定期考査前にこのプリントを用いてほぼ全生徒が復習をしている。
 授業においては教師による発問等によって,本文の内容理解をした後にその英文を音読プリントを用いて読めるように指導する。その復習の成果を次の時間にペアワークで披露しあう。そのときに制限時間内で読めた英文の量を測り,相互に評価を付けさせる。このペア音読をリーディングチャレンジ(RC)と呼ぶ。RC の手順と評価方法は以下のとおりである。各回,授業開始の号令と同時に,起立した状態で個別音読を1度行ってから,生徒は着席する。以下その手順である。

[1] パート全体を生徒は,教師の後に続いて文単位で音読する。教師はその所要時間を測る。
[2] 生徒がペア( I ,II )を作り,計測した時間内で音読をする。生徒 I が読むときには,生徒 II は教科書を見ながら聞いて,生徒 I をサポートする。そして制限時間が過ぎたら交替する。
[3] 評価方法
A 制限時間内にそのパートを2周以上読めたとき。
B 制限時間内にそのパートを1周以上2周未満読めたとき。
C 制限時間内にそのパートを1周未満読めたとき。

 評価 C の場合や授業を欠席した場合には休み時間に担当者の前で音読をしなければいけないことにしている。RC には約10分間かかるが,評価をクリアするために,授業開始前から生徒は練習をするため,授業にスムーズに入れるようになっている。以上の活動を授業の最後のまとめと位置づけるのではなく,授業の冒頭における復習活動のペアワークと指定位置づけることが活動の狙いである。これにより,チャイムが鳴る前から多くの生徒は音読の練習を始める。

(2)問題点
 この RC を,成績中・下位層にとっては暗記ととらえる傾向があり,空読みをしている生徒が多いことに気づいた。その空読みが読解力向上の妨げのひとつになっている可能性があるのではないかと考えたため,RC 後にアウトプット活動を入れることによって,内容を考えながら読むように指導した。この授業開始時に復習である10分間+5分間を“Thinking”のための音読活動にしたいと考えた。

(3) “Thinking”とは
 ELEMENT SKILLS BASED では,リーディングスキルを理解するために,Part1 において,文章の構成について4つのパターンに分けて示している。そこで授業においては,論理的に段落構成を意識させるため,ここでは,logical thinking のことを “Thinking”とする。その手立てとして以下の2つを取り上げる。

[1] ディクテーション……内容を理解しないと,一文を通して CD を聞かせた後,単語だけに気を取られてしまい,文章が書けない。
[2] キーワード・ライティング…… RC の後に,教科書を閉じて,キーワードをもとに,読んだ内容を再生する活動である。内容を日本語で思い出すのではなく,キーワードをもとに英語を思い出す手段である。全体の一部であることを板書しながら,生徒は各段落で要約を作成するので,これが文章構成の理解にもつながると考える。
 
3.音読後の活動例

 RC で十分にインプットした後に,以下のアウトプット活動を導入する。

(1)ディクテーション
 RC 後に,音読プリントの裏面に,読んだ内容を思い出させるために,パラグラフ二つ分をディクテーションさせる。このときは,先に本文を3回しか流さないことを宣言しておく。準拠 CD を用いて各文単位で止め,該当パラグラフを3回流す。空読みした生徒は,ほとんど書けないが,内容を考えながら読んだ生徒は冠詞や接続詞,助動詞等の機能語を除いて書けている。その後,教科書を開いて自分で添削をしてから,まとめとして準拠 CD を用いて何も見ずにシャドウイングをした。この活動を Part1 Lesson1〜Lesson4 まで実施した。このディクテーション活動は,成績中・下位層が「内容を考えながら音読する」必要性を実感したものであった。

(2)キーワード・ライティング
 RC の後,概要を思い出して,声に出したり,文字に起こしたりする活動である。4レッスン分のディクテーション活動に慣れてきたことで,Lesson5,6 においては,ある程度空読みの状態を脱しつつあるように感じたので,次に RC 後の活動にペア同士で読んだ内容をまず,シートの裏面に概要を書き,ペアで読んだ内容をできるだけ自分のことばに直して話す練習を入れた。そのまとめとして,1〜2名を指名して全体で発表させた。成績上位者はパラフレーズしたものを書く傾向があり,中・下位層は該当キーワードを含む英文・フレーズを思い出して書く傾向がある。

 
4.まとめ

 以上,授業の冒頭で私が音読後の活動に対して実践していることである。生徒に対して音読の効果を定期テストで点数が取れることで実感させ,さらに音読したことをすぐに英作文等でのアウトプットにつなげることで,生徒は内容を考えながら音読をするようになることが分かった。最終的には,生徒が自分で興味を持ったものをどんどん読む自立的な学習者に成長していってほしいと思う。