英語授業実践記録
英語で行う「英語 I 」の授業の実践
〜4技能の有機的な統合を目指して
鹿児島県立武岡台高等学校
先間竜也

I 授業で大切にしていること

 私は新採二年目の新米英語教員で,まだまだ勉強中の身である。拙い授業ではあるが,実践をここに紹介する。
 英語の授業で特に意識していることが三つある。
 まず一つ目は,発信力の育成だ。私はある英語の研究会で,英語教育や授業のあり方について研修している。その会の中で,「アウトプットの活動が少ないこと,内容的にまとまりのある一貫した文章を書く力が低いこと」が課題提起された。確かに,スピーキング・ライティングに焦点化した言語活動を継続的に取り入れることを意識しなければ,リーディングがメインとなる授業に陥りやすいと私自身は感じている。以来,多くの先生方のご指導をいただきながら,4技能をバランスよく有機的に統合させた授業作りを意識するようになった。
 二つ目は,授業を英語で行うということだ。学習指導要領の改訂を受けて話題となったが「授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,英語の授業は英語で行う」ことを意識的に実践している。そのため教材研究で重点をおいていることは,一つの発問を幾パターンか異なる英語表現で準備することである。これは,生徒一人一人の理解の程度に応じて英語を使用することに配慮しているからだ。それでも授業中に用意した英問が生徒にとって理解し難いときがある。そのようなときは安易に日本語を使うのではなく,もっと簡単にパラフレーズする。つまり,生徒の「使用語彙」を教師が使うことで,理解を伴いながら授業を英語で進めるよう努めているのだ。
 三つ目は,「生徒の心を動かす」発問を取り入れることだ。例えば,“Why do you think he 〜?” や,“Please tell your own idea to other students.”など のような発問によって,登場人物の心情や言外の意味を考えさせたり生徒自身の考えを引き出したりするということだ。この時,生徒一人一人が,手にした文章の主人公なのだ。時には対峙する考えが出されることもある。そんなとき授業はよりおもしろくなる。「本当の答えは何だろう」と,答えなどあって無いような問いに生徒は真剣になるからだ。また,自分の考えを自己開示することで,生徒の心は内容にぐっと引き込まれていくようである。尊敬する英語の先生から,「予習させても緊張感のない授業なら意味がない」と教わったことがあるが,「緊張感」の意味するものは教師の威圧から生み出される緊張感ではなく,生徒が英文の中身にのめり込んでいく中に自然と生まれるものだと解釈している。生徒の考えを引き出す発問は,英問英答によって内容読解が単調な概要把握に終わってしまわないためのエッセンスなのだ。

II 4技能の有機的な統合を図る授業の流れ

 下に示した [1] 〜 [5] が「英語I」で実践している授業の流れである。

[1] 英問英答による前時の内容の復習をする。
[2] 本時の内容の新出語彙を確認する。
[3] 英問英答による本時の内容の読解をする。
[4] 本時の内容の音読をする。
[5] 本時の内容の要約を英語で書く。

 [1] では,英問英答による前時の内容の復習を行う。生徒は英語による発問を聞き,それに英語で答える。つまり,「話す」・「聞く」の能力を使って活動する。
 [2] は新出語彙の確認である。難解な語彙は,英英辞典のように,生徒にとって簡単な英語を使ってパラフレーズし,その意味を推測させるようにしている。主に「聞く」の能力を使う活動だ。
 [3] は英問英答による本時の内容の読解である。私の英問に生徒は英語で答える。英文の内容に関する問いには英語で答えるよう促すが,自分自身の考えを発表するときに英語で話すことはそう簡単ではないので英答を強要することはない。板書は,本文の概要をキーワードや絵だけで示すように心がけている。この活動では主に「聞く」・「読む」・「話す」の能力を使うことになる。
 内容読解の後に [4] の音読をする。内容を理解した上で音読をすることは,気持ちを込めて英文を読んだり,読みながら頭の中で内容を整理したりするのに有効である。
 最後に [5] の要約である。[3] で黒板に残されたキーワードや絵を見ながら,本文の要旨または概要を英語の文章で書いていく。生徒が「書く」能力を使う活動だ。完成した要約はALTに添削してもらい,生徒に返却している。ネイティブの先生から添削されたりコメントをもらったりすることで,生徒の英文を書くことへの意欲は高まるようだ。
 [1] 〜 [5] を一つの授業の流れとすることで,「読む」・「書く」・「聞く」・「話す」の四つの技能を生徒は駆使することになる。
 以上が私の「英語 I 」の授業の紹介である。最後に,これまでに実践した授業での板書と ALT によって添削済みの要約の例をいくつか紹介する。

<要約>

<板書>

<本文>

 One of the best-known features of Saturn is its rings. Many people have wondered why the planet has such rings, and how they were made.
 With a telescope made by himself, Galileo observed Saturn for the first time in the beginning of the 17th century. He thought that Saturn had two ‘ears’. Half a century later, Huygens recognized that the ‘ears’ were in fact a disk-like ring. Twenty-five years later, Cassini discovered that the ring was, in fact, made up of two rings with a division between them.
 From the 1970's, spacecrafts were launched to Saturn. At present it is thought that there are seven rings. The particles making up each ring are different in size and color.

(三省堂 , EXCEED, English Series I, Lesson 6 The Wonders of Saturn's Rings, §1)