英語授業実践記録
あぶり出し速読法のススメ
兵庫県立北須磨高等学校
中村 功
 
1.はじめに

 先生方は、リーディングなどの授業で扱う速読教材をどのように指導されていますか。いわゆるキーセンテンスをどうやって短時間で素早く見つけるか、苦心されていることと思います。どのような英文にもキーになる語や文はあるでしょうが、残念ながらそれを見抜くことは一通り英文に目を通してから、ということがほとんどではないでしょうか。私の授業では、前もって以下の7語に○をつけさせることによって、何とか短時間で英文の流れを左右する重要な箇所を見抜く演習を行っています。

 
2.but, however, not, no,
  never, too, also

 生徒は初めて英文に目を通す時、内容を読まずにとにかく上記の7つの語に○をつけます。私はこの7つの語を7大キーワードと勝手に呼んでいます。英文はその構成が言い換えと対比を通して組まれていることと、筆者の主張が否定表現とともに現れることが多いことなどを考慮して、何年も試行錯誤を繰り返した上で、この7つの語に絞りました。次に、もう少し詳しく7つの語を分類してみます。

(1)対比のグループ( but, however )

 but, however の重要性は言うまでもありません。特に段落初めのものは、その段落の位置づけを決定する重要なものです。「しかし、こうだ。」のこうだの部分は、以下に述べる否定のグループとの組み合わせで使われることが多く、この場合、その箇所の重要性はさらに増すと思います。

(2)否定のグループ( not, no, never )

 否定は単にある事実の否定だけでなく、筆者の主張のまとめとして言い切る形で出てくることも多いと思います。よく文の流れをつかめと言いますが、否定語はその流れに大きな影響があります。この3語に意識が向くだけでも意味があると思っています。否定語の重要性はいくら強調してもし過ぎることはないと言えるでしょう。

(3)追加のグループ( too, also )

 最後は、主張の追加に使用される語です。also は非常に明瞭な形で主張が追加されており、もっと注目されてしかるべき語です。また、too は追加の表現としても重要ですが、否定表現としても重要です。筆者がよくないこと、こうあってはいけないと思うことに頻繁に使われており、大学入試においてもこの too の箇所は、かなり高い確率で問われています。

 
3.実際の手順

 生徒は○をつけるという単純作業をあまり抵抗なくやっています。何度もやるうちに慣れも出てきて、速く見落とさずに探し出せるようになります。1つの段落にたくさん○がつくことがあり、その段落では、文の流れが激しく動きながらも、何とかして筆者がその主張を明確に伝えようと苦心していることがわかります。一方で、時間の経過に従って淡々と事実が述べられるような段落には、あまり○はつきません。言い換えが繰り返されるだけで1つの主張が引き継がれる段落にも、○はあまりつきません。7大キーワードに○をつけることで、文章全体の構成にも目を配ることことができ、どの段落のどこが重要なのかがおおよそわかるのではと、思います。その後で、たくさん○がついた文に注目するように指導しています。「いや、実際はそうでない」といった重要な内容の文は、これで目に留まるはずです。
 確かに、先生方がよくご存じのように、in fact とか in other words などの重要表現も他にたくさんあります。逆に、あまり重要でない also もあるでしょう。ただ、このやり方は文章を読んで楽しむなと言っているのではありませんし、しっかり内容を把握しないでよいというものでもありません。○をつけることで、何の道しるべもない道なき道に、何か簡単な目印を入れて歩きやすくしようとしているのです。例えば、否定表現に○をつけてあぶり出しておくだけでも、流れの読み間違いは減るということです。例えば、but の後の内容は大切なので丁寧に読みましょう、ということです。

 
4.最後に

 簡単な工夫で、大きな効果を得られるに越したことはありません。あぶり出し法とも言えるこのやり方は、多くの生徒に概ね好評のようです。速読テクニックと言えるほどのものではありませんが、明日の授業からでもできる準備不要の簡単テクニックであると思います。ぜひ試していただき、感想などいただければ幸いです。