英語授業実践記録
映画を使って授業を行う
滋賀県立石山高等学校
野崎雅和
(1)はじめに
 映画はDVDの英語字幕のおかげで、以前より教材化しやすくなった。著作権の問題については最後に参考となることを記した。映画教材を扱う良さは次の様に考えている。
 @生徒にとって興味深いストーリーであれば、英語学習への意欲・関心を高めることができる。A生の英語に触れさせることができ、英語を文字としてだけでなく、音声として理解させることができる。B聞き取れない単語があっても、場面状況から、意味を推測することができる。

(2)どんな映画を扱うか
 @人間への賛美・愛を描いた作品 A戦争を憎み、平和を愛することを描いた作品 B人生を考える台詞の入っている作品 等である。

(3)いくつかの事例
 数年来、私が取り組んできた映画教材を紹介する。

@タイタニック(1998年)
 映画「タイタニック」のいくつかの場面のセリフを抜き出し、訳を横に書く。英語のセリフには、虫食いにしておき、音声を聞かせながら、穴を埋めていく。場面は以下の通り。

  1. I'm the king! ってデッキの上で叫ぶ
  2. 男が椅子を投げる
  3. 小部屋でジャックがローズに気持ちを言う
  4. FLYINGの場面
  5. 下ろされるボートからローズが船に飛び乗り、ローズがジャックにまた会う
  6. ジャックの最後の言葉
  7. 現実の場面 年老いたローズが回想するところ

 1年生の授業で、ある教科書を使っていて、他の先生より1時間進みが早かった。その1時間を利用した。教材の準備に休日の半分がかかったが、音声のところは、MDに録音しておいたので、また使えるだろう。
 プリント類も残してあるので、また使える。
「I'm Flying 」の関西弁バージョン訳を作ったら、生徒は「きゃーやめて!」と言っていた。生徒は、映画館で上映していた映画が、授業で英語教材として取り上げられたことに満足してくれた。ローズの回想の場面に、いいセリフがある。

Aハリー・ポッターと賢者の石 (2003年)
 1年生の英会話のT.Tの授業で実施した。クラスは分割の20人。準備として、DVDプレーヤーを生徒用のモニターに接続しておき、場面を映像で見ることができるようにしておく。プリントとして、チャプター17の最初の場面の英語セリフ。いくつかの単語を虫食いにしておく。導入として「映画は今まで君たちにとって、客席とスクリーンというように、向こう側の存在であったものが、今日の勉強で映画をtake in (取り込む)ことが出来るといいですね〜」と言い、さっそく授業開始した。ALTが指示・説明しながら、DVDを操作してくれた。最初は日本語字幕を見ながら、チャプター17の最初を鑑賞。2回目は字幕を消して、穴埋め作業と確認。次はALTに、読みの練習をしてもらい、4人1組で実際に登場人物になりきって、発表。呪文をかけると石になる場面のところは、楽しくわくわくの瞬間だった。
 チャプター17にしたのは、頭出しがしやすいことと、英語がわかりやすいことだ。
    チャプター17の英文

Bスパイダーマン(2003年)
 上記のハリーポターの時間の終わりの10分に、スパイダーマンのラストシーンプリント。音声のみMDに録音しておき、セリフと日本語訳のプリントを配付した。女性がピーターに愛を告白するが、ピーターは断る場面,そして 「I'm (    )」で終わる。「このカッコ、スーパーマンって入れたら、マヌケですね」って言ったら生徒は大笑いしていた。冒険活劇の中にも、愛や人生を考えるセリフがある。

Cライムライト(1986年)(三友社出版)
 数人の先生とチャップリンの映画「ライムライト」を教材にした。映画を見ながら、教材を仕上げていくような授業である。テリーの「I'm walking!」の場面は感動の場面。

Dアミスタッド(2002年)(桐原書店)
 大学受験のための英語のカリキュラムの中で、一度はいい読み物を時間をかけて行いたかった。2年生の秋にこの読み物を1ヶ月かけて、1時間に3ページを行った。19世紀半ば、南北戦争直前のアメリカが舞台。奴隷船の上で反乱を起こし、逮捕されたアフリカ人たちが、乗組員殺害の罪で裁判にかけられるという、史実をもとにした映画である。若いボールドウィン弁護士と主人公シンクェとの出会い。裁判でのシンクェの「Give us free!」の場面。アンソニ・ホプキンズ演じる元大統領ジョン=クインシー=アダムズの裁判での演説が見物である。生徒の感想文
 大切な場面は、(映画のセリフと本文の英文とは少し違うが)ビデオから音声をMDに録り、生徒に聞かせた。感動、感動。

(4)まとめ
 今教材にしたい作品は、「陽のあたる教室」「戦場のピアニスト」などです。簡単に教材化する方法を書いておきます。
@DVDを買う。(スクリーンプレイ出版からそのまま使える教材も売っています)ADVDの必要な場面をMDに録音していく。MDの方は、自動的に場面ごとに、頭出しができるので便利!Bセリフは聞き取るか、英語字幕にして、ポーズボタンを押して、画面を止めて、字幕を写す。メイキングのところを見て、映画の紹介をプリントにまとめる。穴埋めの単語を決める。プリントにレイアウトして、教材のできあがり!! 映画の映像をパソコンで静止画キャプチャーできれば、それをプリントに貼り付ける。無理なら、自分でイラストを描く。パソコン環境的には、DVDドライブがあるといい。captionDVDを使うにはDVDドライブが必要。
 なお、スクリーンプレイ出版から、DVDから、英語字幕をテキストファイルに落とせるソフト「caption DVD」(5000円)が出ている。
 注意点として、著作権の問題がある。詳細については、「映画ビデオ等を教育に使用する時の著作権ハンドブック」(映画英語教育学会発行)を参考にされるか、映画英語教育学会 (052-779-1158)に相談されることを勧める。
 さまざまな学校がある。生徒の英語学習の動機付けで悩んでおられる先生も多いと思う。大学受験する生徒ばかりの学校でも、授業進路を少し早めて、あまった時間にこのような映画英語の学習ができれば、場面に生徒がわくわくし、人生に触れるセリフに感動し、英語学習への気持ちがさらに高まると思う。人間性が叫ばれる今日、まず一歩の取り組みが必要なのかもしれない。
滋賀県英語教育研究会