英語授業実践記録
WE ARE 地球人!
[教室の英語を外の世界につなげるために!]
宇都宮短期大学附属高等学校
熊倉誠一
 文部科学省が「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想を打ち出し、その実践に注目が集まるなか、本校での英語教育の施策を紹介したいと思う。

「今までの英語教育がなぜ実践的でないのか。」(その主な原因)
 ・生徒自身のモチベーションの不足。
 ・英語を生活及び視野を豊かにするツールとしてではなく、苦しい受験教科としてとらえている。
 ・授業が面白くないので、興味がもてない。
 ・英語は苦手だと思ってしまう。
など、様々な理由が考えられる。確かに訳読中心の授業では興味が持てないし、受け身の姿勢になってしまう。また、せっかく学んだ知識が教室の中だけのものとなってしまい、外の世界とつながらない状況である。このような状況を打破し、生徒の目を何とか外へ、そして世界へ向けさせたいと思い、一教室から世界を語るのはおこがましいが、次のようなことを施策として行っている。

1.実践的コミュニケーション能力の育成について
a.生徒のモチベーションの高揚
  [英語を使う機会の拡充]
 ・ 英語弁論大会などへの積極的な参加,留学生との交流活動の推進。
 ・ 生徒の海外研修への参加の促進。
 ・ T.T.授業の積極的導入。
 ・ 英語の授業で英会話の導入(Q&A)など。
 ・ オーラルコミュニケーションTの授業でDVDの活用。
 ・ 英語検定,TOEICなどへの受検の促進。
 ・ 大学入試センター試験でのリスニングの導入にあわせて、定期試験でもリスニングを導入。
 ・ 夏期高大連携講座を実施し,国際理解・言語学などの講義を行う。
 ・ 海外修学旅行の実施検討。
 ・ 英語合宿の実施検討。(ブリテッシュ・ヒルズなどの利用)
b.教育内容の改善
 ・新学習指導要領の推進。
  (4技能の有機的な関連をはかり基礎的・実践的コミュニケーション能力を重視)
 ・生徒の意欲・習熟の程度に応じた選択教科の活用または補充授業の実施。
 ・スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールへの参加の検討。
 ・英語教員の資質向上及び指導体制の充実。
 ・中高一貫教育制度を利用し,特に中学校でイマージョン教育の導入の検討。
2.指導実践例(オーラル・コミュニケーションTの場合)
 使用教科書:某教科書
 使用教材 :某教科書のCD及びDVD
 授業内容(初めての授業でclassroom Englishのプリントを配布し、少しでも英語環境をつくるようにする。駅前留学ならぬ教室留学である。)

Classroom English
 As a rule I use only English in this class. I don't allow you to use Japanese during the lesson. The following sentences will help you have the lesson. Please don't be afraid of making mistakes and enjoy an English world.
 1. When you have a question;
  I have a question. / May I ask you a question?
 2. When you don't understand;
  Pardon? / Could you speak more slowly?
 3. When you don't know the meaning;
  What does something mean?
 4. When you don't know the pronunciation?
  How do you pronounce something ?

 1.教科書の内容のDVDを見せ,その会話が実施される状況を把握させる。
  (音声のみでなく,映像も与えることにより導入がしやすく効果が大きい)
 2.英語字幕・日本語字幕・日本語吹き替え音声があり,生徒のレベルに応じて使用する。
  (特に英語の音声と英語の字幕の組み合わせは,耳と目から同時に理解できる点がよい)
 3.Dialogではマルチアングル機能を利用する。
  (話者2人・一方の話者のみの画面と字幕・音声を利用し,様々な発話練習を行う)
 4.音声を消し,画面のみで生徒に発話させる。(映画のアフレコ的な感覚):生徒は大変興味を持って対応し、声優になった錯覚さえ覚えるものもいる。
 5.一方の話者の画面にし,あたかも対面して会話をしているようなロールプレイング練習を行う。
 6.会話文法・表現・熟語などの説明をし,生徒どうしのペアワークでその定着をはかり、発表させる。
 7.タスクスをペアワ−クで行い,発表させる。

 教師もできるだけ英語で授業を行い、生徒間の会話も英語を使わせることにより、英語の環境を意識的につくる。そして時折、海外ニュースまたは映画をビデオで見せ、多少なりとも学習内容が生きていることを実感させる。特に留学生がいる場合は交流の機会を数多く持ち、英語がコミュニケーションのツールとして利用できることも実感させる。
 少しずつ、教室から外の世界につながることを肌で感じさせ、意識を世界に向けさせ、日本人としてというよりむしろ地球人としてグローバルビューを持たせられるよう、今後とも英語教員一丸となって指導にあたる所存である。

備考)文法を学ぶ意義も大切にしたい。
 文法つまりその言語体系において、語句と語句とをつなげる法則であるが、生徒は文法というと、すぐ顔をしかめる。
 相手とかかわりたいという心を持つとき、相手に自分についてわかってもらいたいと思うとき、そういうときに言語を使う。言語は表現行為のひとつである。言葉は思うままに表現する絵画のような主体性だけによってなされる表現行為ではない。言葉には社会的ルールがある。そのルールにかなう形式に従わなければ、自分の気持ちや事柄を相手に表現することはできない。聞き手はルールに従って表現の理解に努める。英語においても、自分の感情・思考を的確に発信し、相手の言葉を正確に受信するために、文法上の知識を身につけ、技能を磨くことは大変意義あることだと思う。