教育改革のとりくみ 目次

子どもの学ぶ意欲と確かな学力をつけるための授業の工夫

山形県 米沢市立三沢西部小学校

1.本校の実態と課題

 本校は,米沢市の西南に位置し,国道121号線沿いの全校生50名(単式学級4,複式学級1),教職員11名 の小規模校である。間近に山林や清流があり,草木等も多く豊かな自然環境に恵まれている。

 児童は,少人数のため互いに親しく安心して学校生活を送っているが,反面,目的意識や向上意識が低い傾向にあり,自ら学ぶ意欲と基礎学力の定着・習熟が課題である。

2.今年度の取り組み

 (1) ねらい

学ぶ意欲を育て,確かな学力を保障する。

「100マス計算 」
 (2) 1学期の取り組みの実際
児童の反応 成果 課題)
 
1) 基礎的学力の到達目標の明示と保護者への達成状況報告

 4月に国語・算数(1〜6年),社会・理科(3〜6年)の到達目標を設定して児童と保護者に明示する。本校は,評価は二期制(10・3月)だが,達成状況を年4回,7・10・12・2月に保護者に報告する。

   子どもたちは,到達目標と取り組む内容が具体的に分かり,意欲的に取り組むとともに集中力が高まり,スムーズに授業に入ることができた。
   子どもたちと保護者に明示することにより,学習意欲が高まり,家庭からの声かけや協力が得やすくなった。
   実際に指導してみて,基礎的学力の内容をより充実させるための検討を重ねる。
2) 授業改善
 ・  子どもの発達段階を踏まえ,6年間を見通した指導法を探求し,指導力の向上を図る。→ 校内研を主として,国語・算数の授業研究に取り組みみんなで学ぶ。

<国語> 漢字の読み書き,言語事項,説明文を主とした読解指導
<算数> 四則計算の習熟,概念指導
 ・  日常的に基礎的到達目標の指導に取り組む。

 国語,算数は毎時間,社会では計画的に始業10分以内で実施する。
<国語> 漢字の読み書き,言語事項等
<算数> 四則計算の習熟のための100マス計算等
<社会> 4年市町村名,5年都道府県名,6年主な歴史の年号暗記等

<第2学年 算数科「かくれた数はいくつ」の授業について> 


    基礎学力のための50マスひき算練習は,自分の目標タイムを決めて取り組んだが,回を重ねるうちタイム内で正確にできる ようになり,全体で5分で終えることができた。

 本時の「テープ図」を書いて考える問題は,前時に教師と一緒に書いて,分かっていること,もとめることを書き込んでいたので,自分で書くことができ,式化するのに有効だった。

「かくれた数はいくつ」
    本単元のような文章題では,題意を捉える上でテープ図は有効だが,テープ図から式を書かせるにも指導は必要である。また,今後,学年が上がるにつれて,文章題が難しくなるので,低学年のうちからテープ図を書いたり,立式したりすることが問題把握に役立つと考える。
    挿絵やテープ図,線分図などの文章題の問題把握に有効な方法については,書かれているものを見て立式するだけでなく,低学年のうちから,テープ図や線分図などを実際に書く指導をすることが必要ではないか。
3)  全体及び個に応じた学力補充と学力向上月間を実施し,基礎的学力の獲得と定着を図る。

 ・  毎週金曜日の放課後,全体及び個に応じた学力補充の時間として設定する。
 ・  学力向上月間と全校基礎学力テストを年4回 (7・10・12・2月)実施して,児童のがんばりを認め達成感を持たせるとともに意欲を高める。また,保護者に達成状況を報告する。
   国語,算数の毎時間の取り組みにより,到達目標に向けて集中して取り組む姿勢が育ち,放課後の補充や学力向上月間において,自分のめあてに最後まで取り組めるようになった。
   基礎的学力の獲得と定着のための取り組みが,授業と充実月間設定により日常的に取り組むことができた。
   指導と評価を一体化し,少人数を生かして個に応じた指導を行い定着と習熟を図る。
 

「音読もしっかりと」

「個に応じた指導」

3. 今後の課題

 (1) 国語科では,「読解指導」,算数では,「概念指導」の授業研究を重ね,効果的な指導法を工夫し共有する。

 (2) 基礎的学力の到達目標達成のために,具体的に取り組め,客観的に評価できる内容を工夫しながら指導にあたる。

 (3) 評価をもとに個に応じた指導を行い,到達目標達成させる。


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