教育改革のとりくみ
目次

確かな学力をもつ児童の育成

愛知県江南市立布袋小学校
http://www.hotei-e.ed.jp/

I 研究の構想

1.主題

 確かな学力をもつ児童の育成

2.研究のねらい

 本校では,「確かな学力」を「生きる力」,具体的には下の9つの力であるととらえ、この9つの力を伸ばすための研究を進めている。

<確かな学力>
 

3.研究の方法

 全学年の算数,3・4年生の国語,5・6年生の理科における少人数指導を中心に,個に応じたきめ細かな指導方法の工夫や改善を図り,児童に「授業が分かる!」という喜びや「授業が楽しい!」という達成感を味わわせることによって,確かな学力を身につける。そのために,

  (1) 教師の授業力の向上を図る

  (2) 個に応じた指導のための教材を開発する

  (3) 個に応じた指導のための指導方法・指導体制についての工夫や改善を図る

  (4) 学力の評価を生かした指導のあり方を探る

4.研究の全体構想

 

II 研究実践

1.算数の実践 2年生「1000までの数」

  (1) 単元構想

単元 「1000までの数」(11時間完了)

 1000までの数の表し方や数のしくみを知り,大小を比べたり,10を単位とする簡単なたし算やひき算をしたりすることができるようにする。

1. TT 
 
 紙を数えよう 
数え方を工夫し,100をこえる数の読み方を知って,100をこえる数の表し方やしくみを調べるという学習課題をもつ。
 
2〜9. 習熟度別少人数指導

 
 100をこえる数を知ろう 
 
 100をこえる数のしくみを考える 
 
 10がいくつか考える 
 
 数の大小を考える 
 
 1000の構成と数の系列を考える 
 
10. TT 
 
 10を単位とするたし算とひき算をしよう 
11. 担任   
 
 まとめのテストをする 

  (2) 指導の実際

ア. きらきらコース・・問題にじっくり取り組み,確実に計算力を高めていくコース

  問題数の少ない補充プリントを利用することによってやり遂げたという満足感が得られるようにした。教具としては,数の量感や1000という数の構成を捉えやすくするために,タイルを使用した。タイルは10や100のまとまりを操作しながら十進位取り記数法の仕組みを理解しやすかった。

イ. わくわくコース・・計算や文章問題を短時間に解き,いろいろな問題にあたるコース

  「ためしプリント」「チャレンジプリント」に付け加え,「算数はかせ1」「算数はかせ2」の発展プリントを用意し,個人差に対応した。教具としては,数え棒の代わりにストローを1000本準備し,実際にこの数を数えて1000という数の量感をとらえさせた。

  (3) 成果と課題

ア. コ−ス別少人数指導を取り入れたことにより,発言の少なかった児童の発表が増えた。また,早く理解できた児童がミニ先生となってわからない児童に教え,授業が活発化した。

イ. 補充プリントや発展プリントを活用させたので,意欲的にプリントに取り組み計算力が向上した。

ウ. 児童の学習状況が把握しやすくなり,個に応じた支援の機会が増えたが,授業時間内における理解度のチェックを効率的に行うための評価方法のさらなる工夫が課題として残った。

2.国語の実践 4年生「読み取ったことを伝え合おう『ヤドカリとイソギンチャク』」

  (1) 単元構想と指導の概要(15時間完了)

 

  (2) 成果と課題

ア. 前半の教材文の読み取りの段階から表現活動別の少人数指導を取り入れたことで,児童の学習目標をはっきりさせることができた。

イ. コース別のワークシートを開発し,それをポートフォリオ的に累積したことで,児童が自分の学習を振り返ることができ,着実に学習を進めることができた。

ウ. 付箋紙を用いた相互評価は,学習意欲を高めることに大きく役立った。

エ. 表現のスキルの指導をどのように単元に組み込むかが課題である。

3.理科の実践 6年生「ものの燃え方と空気」

  (1) 単元構想と指導の概略(14時間完了)

 

  (2) 成果と課題

ア. 直接体験(一人一実験)を重視し,児童の意識にそって学習を進めてきた結果,真実を見つけることの楽しさ,分からなかったことが分かる喜びを実感させることができた。

イ. 課題別少人数指導,解決方法別少人数指導では,2教室で2人の教師が課題を分担して指導した。その結果,多様な課題や補充的な学習・発展的な学習への対応ができた。

ウ. 単元の途中に確認テストを行うことによって,より的確に発展的な学習・補充的な学習のコースを選択することができた。

エ. 学習プロセスのスキル向上に伴い,児童自身が単元全体を見通すことのできる計画表を工夫することが課題である。


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