教育改革のとりくみ
目次

信頼される学校づくりを目指した学校評価

宮崎県小林市立西小林小学校

1.はじめに

 平成14年4月「小学校設置基準及び中学校設置基準の制定等」が施行されたことにより,各学校には「自己点検・自己評価」について,その実施と結果公表に努めることが求められている。つまり,学校の教育目標を実現するために,学校改善の手立てとして学校評価を積極的に活用し,学校自らが客観的・総合的に評価していくことが重要とされている。

 そこで,本校においては,学校の教育改革の有効な手立てとして,学校評価の在り方を実践的に研究し,信頼される学校づくりに取り組んでいるところである。

2.学校評価の実際

  (1) 目的

 教育活動の改善・充実に資するため,学校の教育活動及び学校運営の状況について総合的・客観的に点検・評価することにより,学校の教育目標の達成を目的とする。

 評価結果に基づいて,組織的,一体的に教育課題に取組み,活力ある教育活動の展開を図る。

  (2) 基本方針

職員,保護者,児童による評価を行い,総合的・客観的に評価する。

学校の教育課題を家庭の共通の課題として共有化することで,共に考える「開かれた学校づくり」を目指し,学校と家庭との信頼関係を深める。

PDCAのサイクルを機能させ,学校の教育活動の改善につなげる。


評価項目の焦点化と明確化を図る。
(項目の作成に当たっては何を評価すべきかを明確にして精選し,回答しやすいように配慮する)

説明責任・結果責任を果たす。
(保護者に対して,年度当初に教育課程の説明を行うとともに,各学期ごとに評価結果及び学校としての改善策を報告し,年度末には学校評価の結果を総合的に報告する)

  (3) 評価方法

 内部評価と外部評価を年間通して計画的に行い,学校の教育活動及び運営状況等を多面的・総括的に評価していく。

 項目対象者内容



教育課程評価
(短期)
職 員 2ヶ月ごとに,教育活動全般にわたって,全職員が4段階評定と所見で評価する。
教育課程評価
(長期)
年間の教育活動全般にわたって,全職員が4段階評定と所見で評価し,数値化する。
学期反省 各教科部,指導部により,学期ごとに所見で評価する。
学力検査 児 童 算数と国語の学力を測定し,結果を次学年の学習指導に生かす。(1〜6年…CRT)
児童
アンケート
2年以上の児童を対象に,学習・生活全般の満足度や自己評価を行う。



行事
アンケート
保護者 保護者がかかわる学校行事について活動内容,方法などについて意見をもらう。
学校評価 教育活動全般について,保護者に4段階で評価してもらう。
学校評価 学校評議員 教育活動全般について,意見を聴取する。

  (4)  学校評価システムの確立

 年間を通してPDCAのシステムを作成し,見通しをもって計画的に実践・評価を行い,教育活動の改善に生かす。

評価システムを確立することで,職員の意識改革が図れ,実践化に向けた取組みが可能になった。

  (5) 具体的な評価例

1) 内部評価

ア. 教育課程評価(短期)

 学期ごと或いは行事ごとの評価を行っていたが,煩雑となりスパンが長いと結果を忘れてしまうという弊害が見られた。そこで,2ヶ月ごとに下記のような形式で行事,教育活動等について職員による評価を行った。改善が可能な部分についてはすぐに指導に生かすなど,常に実践化を意識した評価ができるようになった。



イ. 教育課程評価(長期)

 年度末の評価を「学校の教育目標」「教育計画」「週時程」「各教科」等15の項目に分類し,それぞれ具体的な内容で評価を実施した。また,結果については,数値化して,前年度との比較,検証を行い,課題が明らかになるようにした。


2) 外部評価

ア. 保護者による学校評価

 「教育活動」「学校経営」「児童の生活」の3項目に分類し,25の質問事項を設け,評価してもらった。内容については,下記の点に留意して職員間で内容について協議し,評価内容の厳選を行い実施した。

学校としての重点実践事項に絞って評価を依頼する。(学校の方針の明確化)

保護者にも分かりやすい言葉,内容にする。

学校の課題を家庭での課題として捉え,共同歩調で取組みを推進できるものを内容に加える。


イ.  保護者による学校行事の評価

 次年度の教育課程編成に向けて,保護者の意見を集約するため,右のような評価を行った。特に,保護者が関わる行事,参観日,家庭訪問について意見を求めた。

 また,1年間の子どもの成長に目を向けてもらうための質問項目も設け,プラス面から子どもの生活を見直すきっかけ作りを行った。

  (6) 説明責任

 保護者による評価の結果については,集計結果を数値化したり,意見に対する学校としての対応を明確に示したりして,常にその情報公開と学校としての教育方針について伝えることにした。


 また,内容によっては,グラフ化したり,色で見やすくしたり,どの家庭でも必ず目を通してもらえるようにレイアウトの工夫も行った。

〈評価をした保護者の意見〉
資料でいただいた「学校評価計画」に目的や基本方針が明確に示され,学校が向かおうとする姿がよく分かりました。

また,改善すべき点を明確にし,次の計画に生かすようにしている点も良いと思います。家庭と学校が手を取り合って子どもを育てていくことが必要だと改めて感じました。


  (7) 成果と課題

 学校評価を実施したことで,次のようなことが明らかになった。

評価の目的の明確化が必要である。(評価の方法,分析の仕方が違ってくる。)

評価の規準の設定が必要である。(学校として何を重点化しているのか評価項目を焦点化する必要がある。また,できるだけ数値目標化することが望ましいが,すべてを数値化するというのは難しい)

評価の結果を教育活動の改善につなげるためには,周到な準備,検討が必要になる。そのため,学校評価を年間計画にしっかり位置づけておくことが重要である。

 学校の活性化に向けて,学校評価についても常に改善する努力を続ける事が大切である。この取組みの積み重ねが,教職員の意識改革につながり,学校の教育改革につながると考える。今後,さらに,学校評価の在り方について追究していきたい。


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