教育改革のとりくみ

一人一人が輝くように
−小規模校の特色を生かして,個の指導の充実−

福岡県飯塚市立八木山小学校

1.学校の特色

学 年1 年2 年3・4年5・6年合計
児 童 数
()は校区外通学生内数

(2)

(2)
(1)
(1)
30
学級の形態単 式単 式複 式複 式
校長・教頭・教諭4・養護教諭・事務職員・図書司書・用務員10

 本校は,飯塚市と福岡市を結ぶ国道201号線の間の八木山高原にある全校児童30人,教職員10人,4学級の小規模校です。平成13年度から飯塚市校区拡大事業として,校区外からの通学生を受け入れています。(但し,飯塚市内の児童のみ)

 また,緑の少年団活動の取り組みとして,八木山の自然を生かした体験学習が伝統的に教育課程に生かされています。

 今年の春の野鳥観察会では,八木山川でカワセミのつがいを見つけ,しばしその美しさに見とれました。

 「小さいことはいいことだ」と小規模校の長所として,全職員が児童との関係を大切にしています。

2.新しい流れを生かして

 平成13年4月からの校区拡大事業により,4名の児童を校区外からの通学生として受け入れたことにより,本校教育に対する期待の大きさをあらためて自覚し,教師の意識も児童の意識も変わりはじめました。

 4名の通学生はもちろん八木山の児童の力をのばすことが,今後も継続して通学生を受け入れることができるのです。平成14年度は2名を加え,合計6名の通学生を受け入れています。

 30人の児童を10人の教職員で を合い言葉に一人一人の児童を伸ばすために,全員一丸となって本校教育に取り組んでいます。 以下がその主な取り組みです。

3.教科担任制の導入

  (1) 上学年の複式学級の「わたり」学習をできるだけ解消する。(特に算数・理科)

  (2)

 多学年で行うことで学習効果が上がる。(生活科・音楽・図工・体育)

  (3)

 教師の得意を生かすことで,児童の興味・関心が高まる。

 以上の3点から教科担任制を導入しました。

 週単位の時間割作成で金曜日の16時からの担任打ち合わせ会や終礼で子どもたちの様子の情報交流を常時実施しています。

 一人一人の子どもの様子を各担任が十分に理解している小規模校だからこそ,教科担任制をより有効に機能することができています。

例 平成14年度 6月第1週時間割5・6年複式学級
 
1校時学活 学活
担任
算数 国語
担任
国語 理科
担任 (2)
国語 国語
担任
国語 国語
担任
2校時国語 国語
担任
国語 社会
担任
家庭 国語
担任
総合 総合
担任
算数 理科
担任 (2)
3校時理科 算数
(2) 担任
理科 算数
(1) 担任
図工 図工
担任
体育 体育
担任
総合 総合
担任
4校時国語 社会
担任
社会 算数
(1) 担任
社会 算数
(1) 担任
道徳 道徳
担任
総合 総合
担任
5校時体育 体育
担任
家庭 家庭
担任
算数 理科
担任 (2)
算数 社会
担任
理科 算数
(1) 担任
6校時音楽 音楽
(1)
音楽 音楽
(1)
体育 体育
担任
 クラブ活動
備考) (1)は1年担任 (2)は2年担任

4.一人一人が輝くように

 個の指導の充実を目指して,以下のことにも取り組んできました。

  (1) 学習指導案の工夫

 一時間一時間の学習の指導を,子ども一人一人の指導を大切にし,評価の観点がはっきりするような指導案を作成しています。


  (2)

 コンピュ−タを利用した学習の充実(一人一台の利点を生かして)

 1年生は簡単な絵の作成から入り,上学年ではパソコンのプレゼンテ−ションソフトを利用して,学習のまとめを作成しています。(飯塚市人材派遣事業のATを活用)

  (3)

 体験学習と縦班(1年から6年を3つの班に分けての活動)

 緑の少年団活動(野鳥観察や米作りなど)の活動を縦班で行い,米作りでは田植えから草取り刈り入れ作業を縦班のリーダーを中心に行い,行事の運営は4年生から6年生で構成する委員会の分担で行いました。人数が少ないので4年生でもみんなの前に立って挨拶をするなど活躍の場がありました。

 特に米作りでは,

 田植え → 草取り → 稲刈り → 収穫米でのおにぎり →

 おにぎりを持っての遠足 → 米の収益金でスキー遠足(人工スキー場)


と目標を持っての活動になっています。


  (4)

 年2回(7月と11月)の学習発表会を実施

 「総合的な学習の時間」を利用して体験学習や教科の学習の中から,一人一人が課題を見つけ,学習まとめを作成し発表します。その経過を教師は学習カルテに残し,今後の指導の参考にしています。


5年生の学習発表
(野鳥観察からみつけた学習課題)

4年生の学習発表
(社会科からの学習課題)

5.成果と課題

  ○ 一人一人の学びを大事にすることができ,子どもたちの様子も変化が見えてきました。 年度はじめの話し合いで,下記のような変化をとらえることができました。

今までは
集団討議がよくできない。
考えに多様性がない。
刺激が少なくマンネリ化しやすい。
語らいが少ない。
 →  今は
上級生がよく下級生の世話をする
物事に積極的に取り組む。
仕事をいやがらずにする。
いろいろなことに興味・関心をもつようになった。
発表することに積極的になった。

  ○

 今年度は評価規準を作成しましたが,今後は毎時間の評価計画を作成し,子どもの課題や成長を的確にとらえていく工夫をしていきたいと考えています。



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