2014年度 バングラデシュ本邦研修~初等教育における理数科カリキュラムの実践と評価編~

広島大学と株式会社パデコさんによるバングラデシュ研修プロジェクトを今年もサポートさせていただきました。今回のテーマは「初等教育における理数科カリキュラムの実践と評価」,弊社からは日本の教科書検定制度や教科書会社の役割と業務内容についてお話ししました。研修員は国家教科書委員会のカリキュラム研究担当官,ダッカ大学で算数・数学,化学及び理科の教授法を指導している先生方です。

先ずは教科書制作についてディスカッション。バングラデシュでは国家教科書委員会が学習指導要領や教科毎のカリキュラムを定め,1~10年生の教科書を作成します。研修員からは「著者選定の方法は?」「著者に必要なスキルは?」などの質問もあり,日本の教科書制作に関心が高い様子でした。また,色覚特性に配慮した教科書作りや,特別な支援が必要な子どもたちへのフォローについても話題となりました。

続いて教科書採択についての説明です。国定教科書が使用されているバングラデシュと異なり,日本の教科書採択制度は地域の意見を取り入れているという印象を持たれたようでした。
 日本の教師用指導書についても多くの質問をいただきました。記載内容や構成,付録の掲示物に興味を感じたようです。また,授業や指導内容の反省点や改善点などを先生方同士で話し合う,日本独自の“研究部会”の存在は,教師のスキルアップのためにとても有効であるという感想でした。

最後に2つのグループに分かれ,本研修を通じてまとめている「次回の教育課程と教科書の改訂計画」について,意見交換を行いました。研修員の方々にとって適切なアドバイスになったかどうか判りませんが,民間の出版社として考えていること,行っていることなどを真摯にお伝えしました。

今回の研修も私たちが講師役を務めさせていただきながら,バングラデシュの教育制度などを逆に学ばせていただきました。また,海外の方の目を通して日本の教育制度や教科書作りを改めて見直すことのできる,とても良い機会をいただいたと感じています。
 「理数は世界共通語である」という考えのもと,啓林館はこれからもJICA教育支援の取り組みをサポートして参りたいと思います。

後日,とても嬉しいお便りが届きました。

It is our immense pleasure to thanks to all of you for providing us for country-focused training training on implementation and evaluation of the primary curriculum in science and math.
Hope this experience may possible to utilize for enhancing revision of curriculum & textbooks and classroom teaching-learning processes.
Further we have met lot of good & learned peoples within training session and out of training session. It is now in memory.

May God help you of all.
With best regards

In favour of team
Dr Md Abdul Halim
Professor
Institute of Education and Research
University of Dhaka

2014年5月

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