中学理科教科書「未来へひろがるサイエンス」Q&A

エネルギー

Q1
教科書本冊3年p.192にある「図73 いろいろな発電方法」で,水力発電の水車・発電機や火力発電のタービン・発電機のところに「運動エネルギー」がないのはなぜですか?

回答
 発電機は,水力発電の場合は水の力,火力発電や原子力発電の場合は水蒸気の力で,水車やタービンに直結している発電機を回転させ,その仕事によって電気を発生しています。このとき,水力発電における水の位置エネルギーや火力発電・原子力発電における蒸気の熱エネルギーが,いったん水車・発電機やタービン・発電機の運動エネルギーに変換されて,それが電気エネルギーに変わるわけではありません。例えば水力発電の場合,水車・発電機にぶつかる直前では,水の位置エネルギーの大部分は水の運動エネルギーに変わっているわけですが,この運動エネルギーが水車・発電機の運動エネルギーに転化してから電気エネルギーに変換されるということにはならないのです。
 このことは,発電機のコイルの質量がきわめて小さく無視できる(その場合の運動エネルギーも無視できる)手回し発電機のように,外からの仕事によってコイルを回転させれば発電できることからもわかります。