天気とその変化
−インターネットのデータの活用−
和歌山県那賀郡粉河町立粉河中学校
太田 加寿也
1.本単元に対する子どもたちの状況
 本単元では導入に,「気象観測をしよう」がある。百葉箱の写真からはじまるが,中学校で現在も百葉箱が生きている学校はどれくらいあるだろうか。子どもたちはかろうじて小学校に百葉箱があったことを思い出す程度で,それを使って観測をした経験のある子どもとなると,数えるほどしかいないのが現状である。しかも,この後に続くのは雲のでき方や露点・湿度のことなど,毎日の生活に結びついて子どもたちが強い関心をもつものとはいいにくい。
 本単元で,子どもたちに何を発見させ,何を考えさせるのか。それは,地球上の日本の位置ゆえに,変化に恵まれた気象変化<<四季や梅雨・秋雨,台風>>など,自然の不思議さやすばらしさ,時には自然の猛威など,子どもたちの成長をとりまく様々な自然現象の再発見を通して地球全体の自然や環境に目を向ける力を引き出してくることではないだろうか。

2.導入には,子どもたちの興味や関心をそそるデータを
 「台風が来れば,学校が休みになるぞ!」「今年,台風は和歌山にやって来るかな!」
 台風に期待する子どもたちの発言は,学校が臨時休校になるかどうかで,どんな被害が出るかとかは二の次である。
 このような子どもたちの関心事は科学的に的確に,しかも,身近なデータで答えていくことで,気象に関する関心を深め,例えば台風や梅雨の雨が,日本の農業や生活の大切な水資源になっていることに気づかせていきたい。

3.気象衛星ひまわりの画像を活用する
 最新の気象データを子どもたちに提供するためにインターネットからデータを集める。
・静止画像・・地球全体や日本付近の雲のようす
・動  画・・台風の発生や進路,梅雨の雲の動きを連続的に観察する。
◎天気図とひまわり画像を重ね,動きを見たり,予測を立ててみる。
 これらの情報の多くは,インターネット上の気象庁や高知大学気象情報ページから入手している。

MPEGムービーはこちらをご覧ください。(516K)

MPEGムービーをご覧になれない方は、下のイメージ画像をご覧ください。

4.授業での利用法と問題点
 気象衛星ひまわりについては,新聞には毎日,天気図と一緒に載っているし,テレビの天気予報でも必ず放送されるので知らない子どもはいない。子どもたちにとっても,すでに日常の情報になっている。しかし,これらの情報を,時間的に余裕をもってじっくりと読んだり,見たりする子どもはあまりいないと思われる。そのような子どもたちが,もう一度,自分たちをとりまく自然事象の不思議さやすばらしさに目を向けるきっかけを与えたいと思っている。
 ただ,この授業で困ったことは,パソコンを含めた設備面である。本校の理科室にはパソコンはないため個人のものを持ち込んだが,画面が小さいために全員に同時に見せることができずに班ごとになり,時間がかかってしまった。パソコン用のプロジェクターがあればいいのだが・・。

5.子どもたちの反応
 録画したビデオではなく,今現在の情報を見せられることで子どもたちの興味と関心を引き出すことができたと思う。特に,動画で見たいところだけを再生できるので,何度も,「もう一回」と要求されたほどである。
 学校では,土・日にチームの練習試合があったりするため,天気がどうなるのか気になり,「インターネットで調べて」などと言ってくる子がずいぶん増えたのもその現れではないかと思っている。


 気象画像データ引用
高知大学気象情報頁  http://weather.is.kochi-u.ac.jp/
気象庁のホームページ http://www.kishou.go.jp/


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