4.問題点
(1) 「指導の系統化及び価値を重視した単元構成をする」について
外角については,角の方向まで含め,きちんと定義づけておく必要がある(マイナスの角度が出てくる可能性がある)。
いろいろな一般化はあるが,調べた結果を定理の形としてきちんと述べなければならない。例えば,円周上において等間隔で5等分すれば,内角はこうなる,外角はこうなる,1つおきにする,または2つおきにすればこうなるなど,それぞれの結果をきちんとまとめることによって生徒が次の結果を見つけやすくなる。
ねらいに依存するが,生徒に数学的事実を教えるのか,図形の調べ方を学ばせるのか,そこを明確にしなければならない。今回の題材は図形の調べ方であるから,この指導を通してどんな調べ方をさせればよいか研究を進めていく必要がある。
(2) 「個人差への対応を明確にした授業構成をする」について
分度器を使って角度を求めた生徒の中に,鉛筆を回して回転角の考えをイメージで解こうとしている生徒が見られた。その生徒を生かすような援助があればよかった。
星形正五角形から一般的な星形五角形にもっていくとき,ステップについていけない生徒に対して,飛躍が大きすぎるので,そのための手だてはどうあればよいか検討が必要である。

 5.指導の系統化及び価値
(1) 平行線の性質を使って角を移すこと

 この性質の論証で,対頂角,平行などを使って説明するわけであるが,
直線mと直線nによってつくられるbを,直線nに沿って平行移動し,となるような考え方
ABの中点Oを中心にして,180回転してcとdが重なるという考え方
など,回す,ずらす,重ねるという直観的操作を大切にした指導をする。
(2) 三角形の内角の和
三角形の内角の和は180である。

1) 平行線の性質より,1点に3つの角を集める場合


2) 回転の考え方を使う場合


3) 極限の考え方を使う場合

(3) 三角形の外角の和
三角形の1つの外角は,その隣にない2つの内角の和に等しい。

1) (2)の1),アの証明の裏返しより
2) 回転の考え方の場合

(4) n角形の内角の和
n角形の内角の和は,180×(n−2)である。
四角形の場合
1) 頂点に1点を取る場合
2) 内部に1点を取る場合
3) 辺上に1点を取る場合
4) 外部の1点を取る場合
5) 回転角の考え方を使う場合
6) 極限の考え方を使う場合
(5) n角形の外角の和
n角形の外角の和は,360である。
←・三角形,四角形より類推する。
1) 3か所の平角から内角を除く場合
2) 回転角の考え方を使う場合
1)
2)
(6) 星形五角形の各頂点の角(本時)
 星形五角形の各頂点の角の和は,180である。
 この学習は,具体的操作を通して多様な証明の仕方がわかり,三角形の内角の和,内角と外角の関係,角を1か所に集めること等のアイディアに気がつかなければならない。
 したがって,本単元の核となる学習内容は,1つの図形に対して多様な見方や考え方ができるように,集める,回す,ずらす,重ねるという基本的操作を繰り返すことである。
 即ち,既有の知識を常に統合し,これを組織化し,体系だてるとともに,既有の知識全体に対する見通しを持って,数学が生成発展していく姿を感じとらせなければならない。そのために,本単元を構成するにあたり,次の2点を骨子にした。
学習の対象を生徒にとって最もなじむ角度から取り上げ,関連のある既有経験を明らかにした上で,その解決に必要とされる知識を明らかにする。
学習の望ましい姿の1つであるオープン・エンド・アプローチの流れをその学習に具備させる。

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