教育改革のとりくみ 目次
「美しい学校・美しい町づくり」をめざして〜美しい環境づくりを通して,学校や町を活性化しよう〜
徳島市徳島中学校

1.テーマについて

 

 本校区は,徳島市の中心に位置し,交通の便はもとより,徳島城公園や城山,近くを流れる助任川など,環境にも恵まれた美しい学校である。また,徳島市の政治や経済,文化の情報が流入しやすい地理的条件の中で,保護者のみならず,地域の各団体も地元の学校に熱い思いを寄せ,学校教育に関心をもち協力的である。本校も地域に開かれた学校,地域と共に歩む学校づくり推進しているが,今年度はその一環として,清掃や花づくりを通して地域住民と一体となり,美しい学校,美しい町づくりをめざしたい。

 環境は人をつくると言われている。常に,花が咲き,ゴミが落ちていない環境が生徒の心を豊かにする。そして,美しい環境を地域住民と共につくることにより,生徒一人ひとりが自らの存在意義を感じ,また,共に助け合い協力しあう精神を培うことになり,共に生きる学校・社会の実現につながっていく。そして,これらの活動で,地域の連携がさらに深まり,学校を核とした地域コミュニティーが育成されることを願っている。

 

2.活動計画及び内容

(1) 花のある学校にしよう
 
フラワー通りをつくろう
   学校の北側の道路沿いに100m余りの細長い花壇があるが,枯れたツツジと雑草でおおわれている。そこに花を240本植え,フラワー通りをつくる。生徒だけでなく,地域の方がそれを見て,心が癒され,美しい学校・地域をつくるシンボル的なものにしたい。水やりなどの花の手入れを生徒の手で運営し,1年間花を咲かし続けたい。
   
花で潤いのある学校にしよう
   花1000本をめざして,プランターや花壇に花を植え,潤いのある学校,花を大切にするやさしい心が育つ学校づくりをめざす。花づくりを通して,ボランティア精神を培うと共に,美しいものを美しいと感じる心や命を大切にする心を育てたい。
   
地域の花づくり応援団をつくろう
   地域の花づくりに関心がある人と一緒になって,学校や町を花でつないでいく。花づくりを通して,学校と地域がつながり,地域ぐるみで生徒を育てていきたい。
   
(2) 自分たちの町を美しくしよう
   学校をはじめ,自分たちの住んでいる校区全体を,中学校や地域の方々と協力してボランティア活動をし,明るく住みよい地域にしていく。そのために,学校及び校区の清掃活動に生徒会の福祉委員会を中心とした活動を通して生徒たちに豊かな心を育んでいきたい。
 
月1回の清掃大作戦
 
藍場浜公園及びその周辺の清掃(6月,10月,12月,2月)
学校周辺の清掃 (7月,11月,12月,3月)
   
クリーンウォーク
 
1年生を中心に,生徒,保護者,教職員がゴミの状況を調べながら校区内を清掃し,環境美化への意識を高めると共に,地域を愛する心を育てる。(3月の予定)

 

3.活動(事業)の実際

(1) 花のある学校づくり
 
4月   土壌作り(中学校北側の植え込みの枯れ木を除き,土の入れ替えをする)
5月   北側の植え込みを『徳中フラワーロード』とし,正面玄関のプランター,鉢植え等に,オーケストラ部を中心に植える。
    (マリーゴールド,ペチュニア,ベゴニアなど750株)
10月   地域の人と生徒会による花の植え替え
    (パンジー,ノースポール,デージーなど1020株)

(2) 月1回の清掃大作戦(福祉委員会を中心として)
 
藍場浜公園の清掃 8:00〜8:40
 
6月6日(土)
11月7日(土)
2月6日(土)

 
学校周辺の清掃 8:00〜9:00
 
7月4日(草抜き)
10月3日(草抜き,溝掃除)
12月5日(草抜き,落ち葉集め)
3月6日(予定)

 
   今年度初めての活動として,生徒会でし始めた朝清掃のとき,花の世話をして「こうやって花はきれいに咲くんや・・・」と思いました。朝学校に来たとき,たくさんの花で目の前が明るいと,「今日一日頑張ろうや!!」と,とてもやる気が出ます。それに,自分が人の心を元気づけることのできることに少しでもかかわっていると思うと,それだけでなんだかうれしくなります。これからも,もっと積極的に花の世話を頑張りたいと思います。  
 
 
   僕は,福祉委員に入って始めはとても大変で,とても疲れることが多く,あまり積極的ではなかった。しかし,何回もしていくうちに,それがとても楽しみになってきた。清掃奉仕では,道に落ちていたゴミを拾い,ふり返って見て,きれいになっている道を見たときなど,とてもやりがいを感じている。大変なこともあるが,福祉委員に入ってよかったと思う。  
 

 

4.成果と課題

〈成果〉
 学校の北側のフラワーロードは,「季節感があって和ませてもらっている」「花の成長が楽しみ」等,地域の方にも大変好評で,学校周辺の方々は,花壇の草抜きや花殻取り,水やりなどもしてくれるなど『地域の花づくり応援団』ができつつある。また,オープンスクールでの保護者・地域の方々のアンケートにも「花が美しく,学校がきれいですね」と,何人もの人が書いてくれているように,学校での花いっぱいの美しい環境づくりは,花を大切に育てると同時に学校を見守ってくれている地域の中で,生徒が育っていることを実感している。また,水やりを自主的にやってくれる生徒,生徒会の自主的な朝の花殻取りなど,花のある環境で学校が潤い,美しいものを美しいと感じる心豊かな生徒が育っている。

 毎月行っているボランティア清掃は,強制されたものでないにもかかわらず全校生徒の3分の1が参加している。草抜き,溝掃除など日頃できないところを大勢の人数でかかることにより学校が見違えるほど美しくなる。この日は何十袋ものゴミ袋ができるが,生徒の心に何倍もの充実感を生み出している。また,藍場浜公園の清掃には,不登校生の中にも参加できる生徒も出てくるなど,教師自身もこの活動の意義を感じている。

 これらの活動は,人間的なふれあいの中から生まれる協調性や忍耐力などを養い,心の安定と学力の向上にもつながり,生きる力の素地をつくりあげていると確信している。

〈課題〉
 「花のある学校づくり」「月1回の清掃大作成」等は,まだまだ教師主導で実施されているのが現状である。今後は生徒会活動を活発にし,生徒自らが積極的で主体性をもった,チャレンジ精神やボランティア精神の育成につなげていくこと,さらに,地域の教育力を活用し,学校,保護者,地域の連携・協力を推進していくことが当面の課題である。

 


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