教育改革のとりくみ 目次

英語で自分が知りたいと思うことを質問する力、また質問に応じる力を育てる指導をめざして
長野県 池田町立高瀬中学校

本校の目指す英語学習

 上記の順序で生徒の英語学習意欲を高め,積極的に質問をしたりそれに応じたりする力を育てるために本校英語科では,特に以下の3点に重点を置き授業を行っている。

1.

1学年1学期における,
本校独自の単元設定

2. Q - A Work
3.

Q - A Activity



1 1学年1学期における,本校独自の単元設定

 中学校1年生の英語学習の最初から,英語を用いてコミュニケーションを行う活動を日常的に経験させることがよいのではないかと考えた。一昨年度より1年次の入門期を,身近な場面・題材を扱った本校独自の単元を設け,「聞く・話す」活動を中心に学習することを試み,教科書は2・3学期で扱うこととした。単元の基本文を学習した後,生徒が学習した基本文を自分達が表現したい内容に書きかえ,授業の最後に発表をする。その発表を聞き手はメモをし理解できたかを確かめる活動を重点的に取り入れている。

 以下に,基本文の一部[例1]とそれを学習した後のA生とH生の作った対話文[例2]をのせる。

[例1] Scene 1 電話で友達を誘おう! (基本文)



[例2] A生とH生の作った対話文




2 Q - A Work

 本校では,2・3学年の授業開始時の数分を使ってQ-A Workを行っている。学年や習熟度クラスによって多少の違いはあるが,生徒が,質問者・応答者に分かれ対話をつなげていく活動のことである。

 教科書の題材に応じて,特定のトピック(自分の持っている宝物,体験したこと,関心のあるもの,周囲の人等について)を設定する。発表者は自分の準備したモノや写真を見せ,そのモノについて聞き手が質問し,出された質問に対し発表者が応える という活動である。 以下にその例をのせる。

2学年のクラスでの Q-A Work の様子

 
[発表者]
発表者: I will show you this.
  S生: What ' s that?
発表者: It ' s a softball glove.
  A生: Who gave it to you?
発表者: It was a present.
  K生: When did you get it?
発表者: 2 years ago.
  H生:

Do you like softball?

発表者: Yes, I do.
  T生:

What ' s your position?

発表者: Short.
  K生: Is short difficult?
発表者: Yes.
  M生:

Where is short?

発表者: ( 黒板に絵を描き )Here
  K生:

When did you start softball?

発表者: 2 years ago.
  T生: Why did you start softball?
発表者: おもしろそうだったから。
  Teacher: It looked fun.
   
 
〔質問者〕
   

 上のような質問をするために,生徒は, Question Tool Boxとして,自分が使えそうな質問をワークシートに書きためる。以下の[例]は2年生のA生が書きためたQuestion Tool Boxである。

[例]



3 Q−A Activity

 Q-A Activityとは教科書で新しく学習した内容を使い,生徒同士がQuestion-Answerする活動のことである。Q-A Activityには以下の様な2つの活動がある。

1 教科書で学んだ新出文法を使った
 
Q-A Activity
 
2 教科書の内容理解の段階で,教科書の
 
トピックに関するQ-A Activity

1 教科書で学んだ新出文法を使ったQ-A Activity
 

教科書の新出文法を学習し基本的な練習を行った後,生徒同士がその新出表現を使いながら自分たちのスキットを作る。 以下の[例]が,不定詞 名詞的用法を学習した中学2年生のR生とT生の作ったスキットである。


[例]2年 Program 6 to 不定詞 名詞的用法( Sunshine English Course 2 開隆堂)

[生徒同士が作ったスキット]
R Where do you want to go for school trip?
I want to go to New York.
R Why?
Because in New York, Spider-man lives. I want to see him and get his sign.


2 教科書本文の内容理解の段階でのQ-A Activity
 

教科書内容理解後は,教師が生徒に対し質問を投げかけ,それに生徒が答えるという活動が多く見られるが,本校では, 質問・答え共に生徒自身が作り発表をしていく活動を行っている。

まず,教科書内容理解後,生徒自身が,本文に関する質問文とその答えをワークシートに書き込む。ワークシートへの書き込みを終了後,自分の作った質問文をクラスで発表する。その質問に対し,他のクラスメイトは,答えを考え発表する。質問をクラスに投げかける際は,出来るだけ教科書の流れにそった順番で質問できるように,他のクラスメイトの質問をよく聞いていなければならない。

以下の[例1][例2]は,M生とA生がワークシートに書いた質 問文とその答えである。[例3]は,実際にクラスで行われたQ - A Activity の発表活動である。


2年 Program 6 Our Hopes, Our Plans 学習後( Sunshine English Course2 開隆堂)

[例1]M生の QA 文
 

[例2]S生の QA 文

 

[例3]実際に行われたQ-A Activityの発表

Student A What are they doing now?
Student B They are talking about future.
Teacher Next question.
Student C What does Martin want to do in the future?
Student D He wants to travel around the world.
Teacher Next question.
Student E Where does Julie want to study art?
Student F In France.
Student G Like who does Julie want to be?
Student H Monet.
Teacher Perfect Sentence?
Student I She wants to be like Monet.
[続く]


1. 1学年1学期における,本校独自の単元設定
  → 「聞く・話す」活動を中心に学習することで,生徒は対話に慣れたばかりではなく,挨拶・天気・住んでいるところなど,ごく基本的な質問やALTの問いかけにスムースに答えられるようになってきた。英語を話したり聞いたりすることをより楽しむ様子も見られ,主体的な英語学習につながってきたように思われる。
 
2. Q - A Work
  → 毎時間Q-A Workを繰り返すことで,発表者がモノを見せると同時に挙手をする生徒が増えてきた。また,相手の答えに更に問いかけをするといったコミュニケーションの深まりがでてきた。
毎回出される質問 (What ' s that? や Who gave it to you? など ) は,かなり自然に口にできるようになってきた。
 
3. Q - A Activity
  → Q-A Workで質問を作ることに慣れた生徒が多いため,Q-A Activityでは内容にせまる質問文 ( 文章の main idea を問うような Why? の質問 ) を作る意欲がとても高まった。また,その答えを皆で考えようという動きが出てきた



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