授業実践記録

選択理科教材例「分子模型を身近に」〜組紐ディスクの利用
1.はじめに

 原子・分子や化学反応式の指導の際に感じる事の中に,今までの生活の中である程度の予備知識があって原子・分子を頭の中にイメージできる生徒ばかりではない事に気づかされます。言葉からイメージできる生徒ばかりではないのです(例えば,炭素を燃やすと二酸化炭素になることなど)。それで教師自作の原子模型を用いてできるだけイメージしやすいようにしていますが,そのねらいとは別に立体感や色が生徒に好評です。視覚的に示す事で,理論的な理解をしなくてもスムーズに原子分子の世界に入る事ができるようです。

 そこで小規模校への転勤を機に生徒にも模型を作らせてみる事にしました。

 少し理科から離れてしまう気もしますが,せっかく作るのなら,普段からカバンなどに身につけてもらおうとストラップ型にしてみました。

 学校の特性上2.3年生合同の選択理科なので,2年生にとっては,原子・分子を学習する前に「科学工作」の感覚で楽しみながら作り,理科の学習の興味に結びつける意図で,また,3年生には2年生時の学習を振り返りながら,この後学習する酸化還元へのステップの意味で取り組んでみました。
2.準備したもの

 (1) 分子模型を作るために

発泡スチロール球
水性のペンキもしくはポスターカラー(ペン型の物でも可)
つま楊枝
木工用ボンド
瞬間接着剤(生徒にとってはあったほうが,仕上がりがきれいになる)
 (2) ストラップ部分を作るために

組紐ディスク(600円くらい 家庭科室にあるかもしれません)
組紐の本(200円くらい あったほうが便利)
刺繍糸
先のとがった長い物(ドライバー,目押しなど)


3.製作

 I 分子模型の制作 (1時間)

〜多くの先生が作られているように制作しています。
 ウェブ上にも多く紹介されています。

1) 何種類かの模型を見せて自分の制作したいものを決定!
(男子に人気の二酸化炭素) (女子に人気は二酸化硫黄)
〜色で人気

2) 厚紙を切り抜いた丸い型を用いて,発泡スチロール球を切断する。

3) 塗装&乾燥


4) 乾燥させたら,木工用ボンドで貼り付ける。

 II 組紐の制作 (1〜2時間 組紐ディスクの数による)

1) 四つ編みの制作

 〜ストラップの持つ部分になります。三つ編みの応用です。
 刺繍糸の中央部に四つ編み部分を作ります。
 端を瞬間接着剤で固定し,セロテープで机の角に固定するとやりやすいです。


2) 四つ編みの終了

  〜編み始め同様,最後も瞬間接着剤で固定する方が,3)がやりやすいようです。(まだ編んでいない部分に接着剤がつかないように注意します)
四つ編み部分の端と端を接着剤で固定して輪にするとよい。

3) 組紐ディスクで編んでいく

 〜意外と簡単です。生徒も楽しそうに取り組んでいました。

中央の穴に少しずつ組紐ができていきます。

適当な長さになったら,ディスクからはずし,組紐の終わり部分を軽く結んでおく。

 III ストラップ型にする

1) 分子模型に穴をあける。
 〜組紐は太いので,穴を少し大きめにあけておくと良い
2) 制作できた組紐を分子模型に通す。
3) 好みの長さで,残りの糸を切る。
 〜ゆるいと感じたら,上下を木工用ボンドで固定すると良いと思います。

 IV
完成
アンモニアが「かわいい」そうです。

4.まとめ

 自分で作ったものなので,生徒の通学バックや部活動用バックにアクセサリーのようにつけています。生徒の会話の中に「○○分子」などと聞こえてくると,理科教師として嬉しさを感じます。もちろん,この後の原子・分子の学習には意欲的に取り組んでいるように感じていますし,定着も高いと感じます。

 一見レベルが低い内容に感じるかもしれませんが,かけた時間以上の効果を見る事ができました。今後も,実際に作業する事でイメージのしにくいものをイメージできる工夫を行っていきたいと感じています。

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