ニワトリの胚発生の観察
江戸川区立小松川第二中学校
飯塚 光司
1.はじめに

 平成14年度に選択理科と科学サークルで,ニワトリの有性卵をふ化させることに取り組むとともに,生き物の命について,生命尊重の立場から考えてみた。

2.胚発生の観察

 38℃に保ったふ卵器に入れた有性卵(受精卵)を用いて,ふ卵5日目から10日目までの胚を順次観察した。

[観察方法]
  1) ふ卵器からふ卵中の有性卵を取り出す。(図1)
2) 卵の殻をピンセットを使って小さく割りながら取り除き,黄身(卵黄)を露出させる。(図2,図3)
3) 卵黄の上に見えている胚をスプーンを使って取り出す。(図4,図5)
4) 胚のまわりの膜を眼科用解剖バサミとピンセットを使って取り除き,胚のつくりを実体顕微鏡で観察する。(図6,図7)
5) 観察結果は,デジタルカメラ(今回使用したカメラの画素数は210万画素)で撮影して記録し,テレビモニターに映像を写しながら,みんなで体の各部分のつくりを観察する。(図8)
6) 観察後の胚は,保存用の液漬け固定標本(液浸標本)にする。〈今回は固定液として95%メタノール水溶液を使用した。〉(図9,図10)




図1 ふ卵中の有性卵を取り出す。


図2 殻を取り除く。

図3 露出した黄身(卵黄)




図4 胚の様子

図5 胚を取り出す。

図6 胚のまわりの膜を取り除く。





図7 胚の観察

図8 デジタルカメラで撮影

図9 胚を標本瓶に入れる。


  
図10 標本瓶に固定液を入れる。

  
3.観察結果と考察

  ニワトリの5日目胚の大きさは8mmほどで,大変小さかった。(図11)
眼球部が極端に発達しており,そのことはふ化後にすぐ餌を探さなくてはならないためと思われた。(図12)
脳は透明で血管が観察された。(図13)
翼になる前肢と後肢がすでに発達していた。(図14)
心臓は,心房と心室がすでに形づくられているようで,収縮運動を繰り返していた。(図15)

 


図11 5日目胚の様子

図12 眼球部

図13 脳の部分




図14 翼(前肢)と後肢

図15 心臓

*図16 心臓の動き
 (QuickTime Movie:2.76MB)


*このファイルはmov形式で保存されています。再生にはQuickTime Movie等のソフトウェアが必要です。再生がうまくいかない場合は、リンクを右クリックし、インターネットエクスプローラの場合は「対象をファイルに保存」を、ネットスケープの場合は「リンクを名前を付けて保存」をクリックし、ダウンロード後お試し下さい。

 今回のニワトリ胚の観察では,5日目胚から10日目胚までの6段階の発生のステージを見たが,1日ごとに胚がヒナになっていく様子が観察でき,命が生まれてくるまでの生命の神秘に感動させられた。
 また,生きているということは,心臓が動き,血管に血液が流れ,やがて呼吸をしていくのだということを実感させられた。

4.ニワトリの胚発生を観察し終えて

 今回,生命尊重の学習ということでニワトリの胚発生の観察を実施したが,わたしたち人間と同じ生命が形づくられていく様子を日を追って調べることができ,大変有意義な学習をすることができたと思う。
 今回の観察結果は,本校の文化祭のみならず,区の中学校理科生徒研究発表会においても発表したが,会場から多くの質問が寄せられるなど,聴衆に大きな興味・関心を抱かせる研究成果となった。
 発表後,翌週の全校朝礼で科学サークル部員に対して研究成果の表彰がなされ,生命尊重について全校生徒で考えるよい機会となった。

5.道徳研究授業−生命尊重と人権教育−

 前任校で昨年度取り組んできた生命尊重と人権教育について,道徳の研究授業が実施された。ニワトリの胚発生の観察,ヤマメ,サケのふ化の観察など,本校で取り組んだ成果を発展的にとらえ,人権尊重の立場から人の命の尊さを生徒と教師がともに考えるいい機会となった。

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