授業実践記録

伴って変わる二つの数量の関係を調べ,その特徴を比べよう〜「関数」の学習のまとめとして〜

新潟県
A教諭

1.はじめに

階段状にしきつめた正方形のタイルを見て,伴って変わる2つの数量について調べる活動は昔からある問題である。以前は中学1年生「関数関係の意味」を理解させる指導で扱った。あえて3年間の「関数」学習の最後に扱うことで学び直しの機会とする。

この問題には,中学1年生「比例」,2年生「一次関数」だけでなく,3年生「関数y=aχ」の関係になる2つの数量が含まれている。内部にある点線の線分の数について着目すると高校で学習する「二次関数」の関係も見いだすことができる。単純な図であるため,規則性や関係に気づきやすい問題である。図をかく作業時間を十分に確保して,関数関係を見いだせるよう促したい。

2.単元名 中学3年 第4章 関数y=aχ

3.本時の構想(本単元の最終次)

(1) 本時のねらい

具体的な事象の中から伴って変わる数量を見いだし,それらの変化や対応を表や式を作って調べることを通して,いろいろな関数の特徴を説明することができる。

(2) 本時の展開

学習活動と教師の働きかけ 指導上の留意点
□評価
中学1年生の時に「関数」という言葉を学習しました。その意味を覚えていますか?
  • 伴って変わる2つの数量χ,yがあって,χの値を決めると対応するyの値がただ1つだけ決まるとき,「yはχの関数である」と言いましたね。
  • 学習した言葉「比例」「反比例」「一次関数」等を確認する。
【問題】図のように,正方形のタイルを階段状にしきつめていくとき,段の数に伴って変わる数量をいろいろ見つけよう。ただし,正方形の1辺の長さを2pとする。

高さ 横の長さ 正方形の数 面積
まわりの長さ まわりの辺の数
まわりの2cmの線分の数 等
  • 図をかく作業を通して,伴って変わる数量を見いださせる。
段の数が変わると高さがどのように変わりますか。

①段の数と高さ

  • 表を使って,伴って変わることや変化と対応について確認する。
他の伴って変わる数量についても,どのように変わるか調べてみよう。

②段の数と横の長さ

③段の数と正方形の数

④段の数と面積

⑤段の数とまわりの長さ

⑥段の数とまわりの辺の数

⑦段の数とまわりの2cm線分の数

⑧段の数と点線の2cmの線分の数

  • 図を使って,対応する値が正しいことを確認する。
  • 戸惑う生徒には具体物を使って説明し,十分に時間を確保する。

□段の数が変わると伴って変わる数量を,意欲的に見いだそうとする。

いろいろな伴って変わる数量について調べました。①段の数と高さの変化や対応の様子と似ているものはどれですか。違うものはどれですか。仲間分けしよう。

また,その理由を今まで習ったことを使って説明しなさい。

  • 表から,①は一定の数ずつ変化しているから,①②⑤⑥⑦は仲間になります。③④⑧は一定ではないので違う。
  • 表で,①⑥は段の数が2倍,3倍になると,高さや周りの辺の数が2倍,3倍になるから「比例」の仲間だ。
  • それじゃ②⑤⑦は「一次関数」かな。式を作ってみよう。
    ①y=2χ ⑥y=4χ
    ②y=4χ−2 ⑤y=12χ−4 ⑥y=6χ−2
  • ③④⑧の関係はどんな式に表せるのかな。
  • 下の図のように考えると,③y=χ ④y=4χだね。

  • ③④は3年生で習った関数だ。⑧はどんな式になるの?
  • わかったぞ。y=2χ −3χ+1になる。(すごい!)
  • 式にχ,があるから③④⑧は仲間のようだけど。

□表や図をもとにして式をつくり,段の数が変わっても成り立つことを説明することができる。

  • 図を使って,正方形になることからy=χという式になることを説明できる。(教具を用意しておく)

⑧y=3(χ−1) + 4(χ−1)(χ−2)÷2χに値を代入して,表の値と比べて,式が正しいことを確認する。

こんな単純な図の中にも,いろいろな関数を見つけることができました。また,表や式の特徴から,「比例」「一次関数」等に仲間分けすることができました。

それでは,「関数」について図を使ってまとめてみましょう。

□表や式を比較することを通して,いろいろな数量関係を変化と対応の特徴に着目して考察することができる。

  • 中学校3年間の学習内容について,関連づけたり,例をあげたりしながら,図にまとめる。
  • 関数関係にないものの例も紹介する。
これからも身のまわりにある伴って変わる2つの数量を見つけ,調べてみよう

4.まとめとして

中学校数学科においては,2つの数量の関係を表や式等に表して,その変化や対応の特徴をとらえ,関数関係について調べることがねらいである。ここでは,中学校3年間「関数」の学習のまとめとして,関数関係についての理解を一層深め,事象の考察に生かそうとする態度をはぐくむとともに,関数の概念の広がりを実感させたい。

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