授業実践記録

家庭学習の習慣化と定着化を目指した取組み“毎日の学習(毎学プリント)”
東京都数学科教諭

 


(毎学プリント5枚(1週間分)を1つにまとめた冊子の写真です。)

 

1.目的・理由

 本校では基礎学力の定着化に課題があり,定着化が高まらない理由として次のようなことが考えられた。

 

(1)家庭学習の習慣が身についていない。
(2)授業内容の復習が充分でなく,理解が不十分になっている。
(3)演習などの反復練習が不足している。

 

 そこで,その対策として家庭学習の課題を出し,基礎学力の定着化を高めることを目指した。

 

2.内容と工夫

 家庭学習の課題を出したとき,提出できない理由として,部活動や習い事で時間がないことや,やり方が解らないこと,課題を忘れてしまったことなどがあげられる。そこでそれらを避け,全員が提出し,達成感を得られる課題になるよう,次のような工夫を行った。

 

(1)毎日配布し,翌日回収する。(1年間で180枚)
(2)プリントを1枚にまとめ,書き込み式にする。(B4両面印刷)
(3)表面(数学),裏面半分(英語),裏面半分(国語)とする。
(4)授業で取り扱った問題の中から,基礎的問題を中心に出題する。

 

 プリントを1枚にし,書き込み式にしたことにより,部活動の合間や食前の短い時間でも取り組むことができ,時間の無い生徒も工夫をして課題に取り組むことができるようになった。

 月曜日から,毎日一枚のプリントを課題として配布し,翌日回収をした。

 木曜日,提出されたプリントをまとめて返却し,それらを一冊にまとめて再度提出させ,保存をさせた。(表紙に冊子の写真を掲載しました。)

 金曜日,その週に行った5枚のプリントを出題範囲とした,確認テストを行った。そのテストで9割以上の正解を出したものには小さな合格証を発行し表彰した。

 また,未提出が続いている生徒を支援するとき,プリントのない生徒には前日に残ったプリントに取り組ませた。そうすることで,教材準備に時間がとられることなく,比較的簡単に支援することができた。

 特に,数学・英語・国語の3教科の課題にしたことにより,数学が苦手な生徒も課題に取り組み,達成感が得られていた。

 急な補教の課題や,授業課題が早く終わった生徒への追加課題として利用することもできた。

 

3.毎学プリントの例  (B4両面印刷1日分)

 

 

 

4.成果と課題

 一年生から毎学プリントを行い,家庭学習を習慣化させたことや,学習課題に挑戦しそこから達成感や満足感を獲得させたことなどから,学習に前向きに取り組むことができるようになり,次のような成果があらわれてきた。

 

(1)計算や漢字・英単語の記述の能力に向上がみられた。
(2)継続して提出することで,生徒の自己評価を上げることができた。
(3)具体的な学習課題として継続し提示することにより,どう学習に取り組めばよいのか,基準を示すことができた。

 

 特に,学習につまずいたり,学習方法が解らなくなった生徒にアドバイスするさい,実現可能な具体的な方法として紹介することができた。

 また,以前には,「小学生の時の方が宿題がたくさん出て勉強していたのに,中学校に入学してからの方が勉強しなくなり,困っている。」というような保護者からの相談を受けることもあった。しかし毎日の学習を始めてからはそのような相談はなくなった。それとともに,全体として学力の定着化に取り組んでいることが,保護者の目からも分かりやすく,信頼を得ることもできた。

 

(1)提出しない生徒,できない生徒へのさらなる働きかけをどうするか?
(2)基礎的課題からより発展的な課題への移行をどうするか?

 

 学習課題の内容を工夫したり,学級担任からの声かけで全員の提出を目指したが,7〜8割程度の提出率になっている。全員の提出をめざし,どような働きかけがより効果的なのか検証してゆきたい。

 また,基礎的課題の習熟が十分な生徒に発展的課題へ移行をさせるとき,どの程度の難度の課題を与え,どのように選択させればよいのか検証してゆきたい。

 

5.毎日の学習一週間の流れ

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