PHSの料金コースの選択について考えよう
筑紫野市立筑紫野南中学校 瀬口 勇治
1.指導観
   [教材観]
    現代は情報化社会であり,さまざまな情報を取捨選択し,処理していくことが必要になっている。また,さまざまな情報の中に潜むいろいろな事象や事柄を関係づけて考えたり,事柄の結果を予測し,判断していくためには,関数の学習を通して身につけた知識,技能や関数的な見方・考え方などが必要であると考える。
 そこで,「PHSの料金コースの選択」を題材として,生徒がどのコースが自分にとって適当なのかを判断し,説明を行う。このことを通して,生徒に関数的な見方や考え方のよさを感じさせたり,わかりやすく他者に説明する方法について考えさせることは,情報を自分なりに処理・考察する上で大変意義深いと考える。
[生徒の実態]
    本学級の生徒(2年生)は計算問題や型にはまった問題を解くことは得意であり,意欲的に発表する態度もほぼ身についている。しかし,自分の考えをうまく他者に伝えたり,数学を日常生活の中で活用していこうとする意欲はまだ低い。
[テーマ]
    「PHSの料金コース」の中からどのコースが自分に合っているのか,また,友達に勧めるとすればどのコースがいいのかをわかりやすく説明してみよう。
[指導のねらい]
 ・「PHSの料金コースの選択」の問題を意欲的に解決し,その根拠の説明を筋道立てて考え,関数的な見方・考え方のよさがわかるようにする。
 ・お互いの考えを説明し合うことで,わかりやすく表現するための方法やポイントをつかむことができるようにする。

2.授業の実際 (本時2/2)
 (1) 把握する段階
段階学習活動・内容指導上の留意点


.本時の学習内容について理解する。
選択する料金コース
A:プラン270
B:プラン198
C:プランおはなしプラス
生徒の興味・関心を高めるために携帯電話やPHSの料金表のパンフレットをOHPを使って提示する。
資料を配付し,わからない内容があれば,質問をするように指示する。
活動内容が理解できたかを挙手によって確認する。

[生徒の反応]
   生徒に実物の携帯電話とPHS加入の宣伝用パンフレットを提示した。
 「先生がPHSを買い直したい。」という場の設定を行い,実際にあるパンフレットの3種類の料金コースの設定から,「どの料金コースを選択したらよいか判断するための説明をしてほしい。」という問題提示を行った。
 生徒は,自分自身にも実際に関係してくる問題であり,意欲的に取り組もうとする様子がうかがえた。

提示したパンフレット

 (2)

 追究する段階
段階学習活動・内容指導上の留意点


.個人で追究する。
(1) どの料金プランが自分にあっているか予想を立てる。
(2) 資料をもとに料金コースについて分析する。
算数的な解法
不等式
方程式
一次関数
グラフの活用
活動時間の場合分け


.小集団で,お互いの考えを出し合いながら,説明のための準備をする。
言葉や式
グラフ
など

意欲的に取り組むことができるように,コースを予想で選択させる。
料金コースを選択するための考えを整理しやすくするために,電卓や学習プリントを配布しておく。
机間指導しながら,解決の見通しが立たない生徒に対して,ヒントカードを提示する。






小集団で発表させながら,お互いの説明について質問や意見を出し合うように指示する。
わかりやすい説明になっているかどうかを評価するために,友達の説明がコース選択の際に役に立ったかどうかを判断させる。

[生徒の反応]
  
パンフレットの中からコースを決定するために必要な通話料金や通話時間を抽出し,必要でないものを捨象したり,条件化したりして,料金や時間を文字で表し,等しい関係や大小の関係を式化していった。


試行錯誤しながら料金と時間を計算したり,関係づけを行っていた。


事象から情報を抽出し,式化したものをもとに,不等式,表,方程式,一次関数,グラフなどさまざまな考え方を利用しながら問題場面の解決を図っていた。

試行錯誤しながら取り組む生徒

  ○

小集団による比較・検討を行う中で,どの解決方法が適当かどうかなど,考えを深めていった。また,どのように表せば,先生や友人にわかりやすく説明できるかを考えながら,問題の解決に向けて試行錯誤を行っていた。


試行錯誤しているプリント

小集団による比較・検討の様子

 (3)

 発信する段階
段階学習活動・内容指導上の留意点


.代表者が発表し,学級全体で検討する。
友達とたくさんお話をしそうだから,プラン270がお得だと思う。それは3つのコースのグラフを見ればわかります。


.本時のまとめを行う。
各小集団の発表は机間指導により内容や説明方法を記録し,それをもとに発表の内容が異なるように意図的に指名する。
説明の内容や方法が適当か,わかりやすいものになっているかなど,相互評価できるようにする。
生徒の料金コースの説明をもとに,先生の契約を変更することを生徒に伝える。
自分の身の回りにも,関数的な見方や考え方を用いて解決できる事象がないかどうか考えてみるように投げかける。

[生徒の反応]
  
数名の生徒に発表を行わせることで,お互いの考えを比較・検討させた。自分の考えがうまく相手に伝わらないところがあったり,自分の説明で友人が大きくうなずいたりする様子をお互いに見ることで,わかりやすい表現をするためにはどんな工夫が必要なのかを感じていたようである。


3つのコースの選択では,自分が使用する時間がどれくらいになるのかがなかなか想像できずに,決めかねている生徒もいた。
 また,式や表だけで関係を導いている生徒が7割程度で,さらにグラフを使って関係を表している生徒は3割程度であった。しかし,発表による交流の後では,グラフを用いて視覚的に捉えることのわかりやすさについて感じている生徒が数多くいた。


数学の学習は,問題の答えを単に求めるだけでなく,いろいろな事象を分析したり,わかりやすく表現したりすることに役立つことを実感していたようだ。

発表の様子


問題解決を図った学習プリント

3.指導の成果
  ○生徒にとって身近な題材を選び,現実的にその場面に直面する可能性が高い問題であったので,生徒は意欲的に解決に向けて取り組むことができたようである。

  ○

実際の資料から必要な情報を取捨選択していくことは,難しいことであるが,これからの生徒たちが身につけていかなくてはならない必要なことであり,さまざまな既習の学習内容を活用する様子がうかがえたことはよかった。

  ○

わかりやすく他者に説明することの難しさを感じたものの,どのようにすればわかりやすい表現ができるのかを考えさせることができた。

4. 今後の課題
  ○OHPや模造紙での提示だけでなく,今後はコンピュータを使ってプレゼンテーションソフト等を活用しながら,より機能的に学習を進めていきたい。

  ○

単に教室内での授業で終わらせるのではなく,実際の生活場面で活用できるような課題の設定を考えていきたい。

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